サイゾーウーマン芸能韓流Netflix『ナルコの神』を映画研究者が解説 芸能 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 Netflix『ナルコの神』麻薬王逮捕の瞬間は、ドラマよりも劇的? 実際の事件と異なる点とは 2022/10/21 19:00 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 『ナルコの神』ドラマよりも劇的な麻薬王逮捕の瞬間 逮捕作戦の内容は、韓国に麻薬密売ルートを持っているという架空の人物(在米韓国人)を作り上げ、Kを通してボンヘンに紹介。取引を理由に、韓国と犯罪人引渡し条約を結んでいる隣接国にボンヘンをおびき寄せて逮捕するという、まさにドラマそのものであった。 劇中でカン・イングは何度も窮地に立たされ、チョン・ヨハンに身分がバレるのではないかと視聴者をハラハラさせるが、Kも作戦遂行中に命の危機にさらされたことがあったという。KがNISと電話しているところを、ボンヘンの韓国人部下が見つけ、あやうく殺されそうになったのだ。 Kはなんとか機知を発揮し、NISに電話をするふりをして逆にボンヘンからの信頼を試したと主張して、危機を回避。その後、韓国人部下が解雇されたという事実からは、Kがいかにボンヘンの信頼を得ていたかがわかるだろう。 さらに、ボンヘン逮捕の瞬間は、もしかしたらドラマよりもドラマチックといえるかもしれない。警戒心の強いボンヘンは、決してスリナムから出ようとしなかったため、最終手段としてKは「取引の中断と韓国ルートの放棄」を持ち出し、彼に決断を迫った。 すでに1.2トンもの麻薬を準備していたボンヘンにとって、莫大な金銭的損失と麻薬を提供してもらったカリ・カルテルの存在は恐怖以外の何物でもなく、結局スリナムの外、ブラジルでの取引に応じるしかなかった。 取引の場所は、サンパウロのグアルーリョス国際空港。ドラマとは異なりKは空港でボンヘンを待ち、NISやDEAたちがその場をぐるりと囲んでいた。ところが約束の時間を2時間過ぎてもボンヘンは現れず、作戦は失敗。解散が命じられたものの、Kが時間稼ぎをしていたところ、ついにボンヘンが到着する。彼が空港に姿を現した瞬間を狙って待ち伏せていたNISとDEAが急襲をかけ、逮捕に至った。 ドラマでは、チョン・ヨハン自身は動かず、麻薬がプエルトリコに到着したことを確認してDEAが発動し、最後にはカーチェイスや銃撃戦が繰り広げられ、カン・イングが執念の活躍を見せるフィクションならではの展開だが、実際のクライマックスも、相当劇的だったに違いない。 次のページ 『ナルコの神』チョ・ボンヘン、逮捕後に広まったうわさ 前のページ1234567次のページ Yahoo 世界の小さな国~南北アメリカ~ スリナム/ドミニカ/バハマ/ベリース [DVD](中古品) 関連記事 Netflix『D.P.-脱走兵追跡官-』に見る、韓国「徴兵制」の実態――「命令と服従」実体験を映画研究者が語る韓国、“政治的な扇動”が問題に……『キングメーカー 大統領を作った男』に見る選挙と社会の分断Netflix『梨泰院クラス』理解を深める3つの知識! 「梨泰院・財閥・クラス」の社会的背景とは?是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』、鑑賞前に知りたい韓国「ベイビーボックス」の実態「同性愛は治療で治る」韓国・ユン大統領秘書の発言が炎上! 映画『私の少女』が描く「LGBTと社会」の現在地