チャールズ新国王は「スキャンダルを操る男」か――息子・ヘンリー王子を“利用”せざるを得ないワケ
「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 今回から全3回は、新国王が誕生した英王室について聞いていきます。
――新英国王チャールズ3世の戴冠式が、来年5月6日に決定しましたね。
堀江宏樹氏(以下、堀江) しかし、この日は王室批判を続けるヘンリー王子の長男アーチーくんの誕生日でした。ヘンリー王子がこの日を盛大に祝う習慣があると知りながら、まさにその日に戴冠式をぶつけてきたということは、チャールズ王がヘンリー王子に「ある選択」を迫っているように見えます。
戴冠式という王室の主要行事を取るか、息子の誕生パーティという私生活を取るか。後者を選ぶなら、ヘンリーは王室から完全に見放されることになりそうです。そもそも、チャールズ王がヘンリー王子を戴冠式に招待自体しないのではないかという臆測もありますが。
――これまでチャールズ王は何かと反抗的なヘンリー王子にも一定の理解を示し、なおかつ経済的にも何億円という額を自身のポケットマネーから援助してきたことは知られていますね。しかし、ヘンリー王子は王室批判を強め、日本円にして145億円を超える巨額と引き換えにNetflixと番組配信の契約をするなど、問題行動がエスカレートしています。それも、経済的援助を断ち切られたことを理由に強まった父親への反感ゆえのようですが。
堀江 保守的な英王室のあり方に、一人の人間として反抗姿勢を明らかにした故・ダイアナ妃を、ヘンリー王子とメーガン妃はマネしすぎた気がします。チャールズにとってダイアナは、性格も価値観も合わずトラブル続きの結婚生活の末に別れた妻にすぎませんから。
――エリザベス女王はチャールズと離婚した後もダイアナに「殿下」の称号を許す……つまり王室のメンバー同然に扱い続けようとしていたとか。将来、国王となるであろう孫のウィリアムや、その弟のヘンリー王子の母親が非・王室関係者になってしまうことを危惧したのでしょうね。
堀江 しかし、チャールズがこれに猛反発し、取り消させたそう。チャールズは、従来の王室の子育ての伝統どおり、自分と距離を置いていた若い頃の両親、とりわけ母親の冷淡さを批判していましたが、いざとなると自分自身がルールブックのような冷たさを発揮する性格の持ち主だったようですね。
――女王が子育てに積極的ではなかった、冷たかったと言っているのはチャールズだけで、彼の妹弟たちは「自分たちのときはそうではなかった」と兄に反論しています。
堀江 チャールズ王はかつて母親を批判しましたが、今度は息子のヘンリー王子から冷淡だといわれる側になる……これはひとつのドラマですよね。