コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

勉強嫌いなのに中学受験、志望校には偏差値10足りず……やる気のない娘を変えた「母の戦略」

2022/10/22 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

「麻紀が決めた動画鑑賞やゲームの時間は確保した上で、塾の宿題の基礎問題だけは完璧にやろうということを親子で話し合いました。もちろん、麻紀が自分で決めたことを守れないならば、中学受験は即撤退という条件。中学受験で勉強が嫌いになるのだったら、その先の大学受験なんてあり得ないですからね」

 通常、小6の夏休み明けると、塾側は本番に向けて「本気モード」になり、子どもたちも受験を「自分ごと」として捉えるようになる。麻紀さんも晩秋あたりから、目の色が変わりだし、自分で決めた日々の課題だけは自発的に終わらせるようになったという。

「これだけでもすごい進歩で、麻紀の成長だと感じました。受験はやっぱり、真面目に努力した子が報われる制度だと思うので、その目標に向かって、麻紀なりに頑張れたことはうれしかったですね。もちろん、『もっとやってほしい』とは思いましたし、欲をいえばキリがなかったですけどね」

 結果的に、麻紀さんの偏差値は微動だにせず、A学園は玉砕、晴恵さんが熟考した併願校のB学園に入学したそうだが、これが「大当たり」だったという。

「B学園は、A学園より偏差値は10くらい下なんですが、ここは『その子の得意分野を伸ばす』という校風。先生方が、できないことより、できることのほうを褒めてくださるんですよね。麻紀は数学の成績は特に悪くて、本人いわく『壊滅状態』だったんですが、先生は『麻紀さんは英語が得意で素晴らしいわね』と褒めてくださり、数学が赤点でも、叱責されることはなかったそうなんです。当然『勉強しろ!』と強要もされませんから、居心地良く6年間を過ごせました」

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