『ザ・ノンフィクション』職場との相性は「運」なのか「人力車に魅せられて2 ~夢と涙の軽井沢物語~」
前回、東京力車でのアツシは、後輩たちが次々と俥夫として自分を追い抜いていく中で、どんどん精神的に追い詰められているように見えた。そのため、もっと早く東京力車を辞めたほうがよかったのでは、とレビューに書いた。
同じミスを繰り返してしまうアツシを教育する押木の負担もあるし、何より社内で「卒業検定に落ち続けている気の毒な人」と思われながら過ごすのは、アツシの精神衛生に良くないように思えたからだ。
しかし今回見てみると、東京力車の厳しい研修があったために、てやんでぃ屋でアツシはスムーズに研修を終えることができたし、てやんでぃ屋にしてみても、繁忙期に未経験の新人を育てることは難しかっただろうから、東京力車での研修は助かったと思う。
『ザ・ノンフィクション』仕事は結局「運」なのか
番組の最後のナレーションでは「人には、同じ仕事をしていても合わない職場もあれば妙にしっくりくる職場もあります」「突き詰めてしまえば、それもまた運次第なのかもしれません」と伝えていた。
「運」というと身もふたもないが、しかし確かに仕事生活は「運」の要素も大きいと思う。上司やクライアントが一人変わるだけで天国から地獄にもなりかねない、結構はかないものだ。
だからと言って「結局運なのだから、職場が合わなければさっさと辞めればよい」とも一概に言えないなと今回の放送を見て気づかされた。
アツシは、東京力車をなかなか辞めなかったことで、てやんでぃ屋からスカウトされ、俥夫としてデビューでき、西尾や押木と俥夫として再会でき、浅草での苦かったであろう過去とも折り合いをつけられたように見えた。もし、早いうちに見切りをつけていたら、ただの「挫折」「苦い経験」で終わっていたのかもしれない。あらためて「辞め時」の難しさを思う。
次週は「あの日 僕を捨てた父は~孤独な芸人の悲しき人生~前編」。幼い頃から没頭してきたゲームの腕でファンを魅了するゲーム芸人・フジタ。小学2年の彼を35年前に「捨てた」父親が、全財産を遺すと伝えてきて……。