サイゾーウーマンコラム助けてと言えないのは自己責任? コラム DV夫に「殺されるんじゃないか」と離婚を決意——母子3人で家を出て行きついた先とは【後編】 2022/10/09 18:00 坂口鈴香(ライター) コラム Getty Imagesより 多田佑実さんは産後ウツとワンオペ育児に悩んだ経験から、「産後TOMOサポ」を主宰し、孤独な育児に奮闘している母親たちをサポート、支援する人や場所につなげている。 多田さんとともに活動している古川美紀さん(仮名)も孤独な育児と夫との関係に苦しんだ一人だ。妊娠中から浮気とDVをしていた夫が無断で家を購入しようとしたことをきっかけに、子どもを連れて家を出る決心をした。 ▼前編はこちら 閉じられた家の中で苦しんでいる母親に手を差し伸べたい――浮気と暴力を振るう夫に悩む家族【前編】 「できない」が言えなかった 産前産後の家族を救う場でありたい―― 「産後TOMOサポ」を主宰する多田佑実さんは、孤独な育児に奮闘している母親たちをサポートし...サイゾーウーマン2022.09.25 本当に支援が必要なのは自分だった 家を出ることを決めた古川さんだったが、行くあてはなかった。ひとまず、友人の家に身を寄せた。 「一歩間違えば母子3人が路頭に迷うわけですから、不安は大きかったです。幸運なことに、産後TOMOサポで知り合った方が使っていない家を無償で貸してくださったんです。本当に助かりました」 古川さんと子どもがいなくなったことを知った夫は激怒し、生活費も入れなくなった。「殺されるんじゃないか」と恐れた古川さんは、これも産後TOMOサポの活動でつながりのあった警察に相談した。 「これまでに夫が子どもに暴力を振るっていた動画があったので、警察の方に見せたら、すぐに児童相談所に連絡してもらえました。これまで多田さんと一緒に産後TOMOサポで活動し、孤立しているお母さんたちを支援してきたのに、私自身が夫に『暴力もしつけだ』と言われて反論できなかったんです。閉じた家の中で、夫婦のパワーバランスが崩れていたんだと思います。児童相談所や警察が入って、私や子どもたちを見守ってくれたことで、追い詰められていた気持ちがラクになりました。これまで私は、ワンオペ育児で苦しんでいるお母さんたちを支援する側だと思っていましたが、実は私が一番助けてもらわないといけなかったんだと、ここまで来てようやくわかりました」 今は離婚調停中だ。夫は「子どもたちと会いたい」「子どもたちと遊びたい」と主張しているが、DVをしたことに反省の色はない。子どもと会えばまた暴力を振るうのが目に見えている。慰謝料もそうだ。夫は自分が悪いと思っていないので、慰謝料を払う必要はないと主張している。離婚が成立するにはまだ時間がかかりそうだ。 それでも、多田さんをはじめ、活動を通じてつながった仲間やサポートしてきたお母さんたちがいることが心強い。 「当事者として苦しんだ経験があるから、同じように苦しんでいる女性により寄り添えるだろうと前向きに考えています」 次のページ 助けてと言えないのは自己責任なのか 12次のページ Yahoo 最新 一番よくわかる離婚の準備・手続き・生活設計 関連記事 「父ちゃんが浮気してる」「女の人が来てる」幻覚に苦しむ認知症の母に、“写真”に撮って確認させた「震えた字で『父ちゃんのバカ』って」――母は晩年、夫が浮気相手と一緒にいるという「幻覚」を見ていた夫の浮気で妊娠10カ月のときに離婚、現夫と出会ったのは「再婚希望者限定」の婚活パーティーだった老人ホームに誕生した85歳女ボスの“戦略”「占いができるから、見てあげる」60歳で会社を退職後、ボランティアで喜びを感じる――依頼する高齢者が「母の姿とも重なる」