芸能
リョクシャカ10周年
『情熱大陸』緑黄色社会、ボーカル失踪事件からの草野球――『クレしん』主題歌も納得の清く正しい青春像
2022/09/26 19:00
緑黄色社会の『情熱大陸』をまとめると、次のようになる。ボーカル失踪→優しく受け止めるメンバー→スポーツで親睦を深める→念願の武道館→「私たちは仕事仲間ではなく友だち!」。そして目標に掲げるのは「国民的な存在になること」。
誰からも文句を言わせない、清く正しい青春ドラマのような構成にうなった。『クレヨンしんちゃん』の主題歌に抜てきされるのも納得できる、わかりやすい明るさ、前向きさがある。昭和の自己犠牲的プロ精神よりも “楽しむ! 友だち! 夢に向かって走る!”といった青春ドラマがウケる世になったのだなぁ……としみじみ感じた。
また、バンドにありがちな尖った感じや、ひねくれた感じがまったくないのも、幅広い世代にウケるポイントなのかもしれない。穴見がオフ日に、1人で岡本太郎美術館へ行くシーンからも、素直な人柄が感じられた。というのも、自意識をこじらせた人間であれば、岡本太郎美術館に行き、作品を鑑賞しながらゆっくり頭を揺らす――という、いかにも『情熱大陸』的な行為は、カメラの前でできないのではないか。
ナレーションは「永遠の高校生たちは、見たことのない高みを目指し続ける」と締めくくられていた。優しく前向きな4人には、永遠に友だちのまま、永遠に岡本太郎美術館で頭を揺らせる素直さを持っていてほしい……。
最終更新:2022/09/26 19:00