コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき140

元ヤクザは、なぜ銀行口座を持てないのか? 金融機関から締め出されるワケを元極妻が解説

2022/09/11 16:00
待田芳子(作家)

 一方で、警察庁は今年の2月に更生の支援策として「暴力団離脱者の口座開設支援について」として通達を出しました。「暴力団から離脱した者が、就労先から給与を受け取るための預貯金口座の開設を申し込んだ場合において、過去に暴力団員であったことを理由として排除されることがないよう、暴力団離脱者の預貯金口座の開設に向けた支援策を策定」したそうです。

 東京の3つの弁護士会は18年から支援してきましたが、県内に指定組織が5団体もある福岡も検討が求められているようです。

 ぼちぼちとはいえ更生のための支援が続いているのですから、いっそ条例の“ヤクザをやめてから5年間はヤクザとみなす”という「みなし規定」とか、いらないんじゃないかと思います。

 ちなみに警視庁の元暴力団対策課長などを歴任した中林喜代司さんは、座談会「暴力団離脱者の預金口座開設の問題について」で、「暴力団を離脱してから5年を経過していないからといって、一律に普通預金口座開設を断らなければならないわけではなく、離脱者個々の信用を判断し、真に覚悟をもって離脱を志す者に対しては、普通預金口座を開設すべきなのです」と力説されていました(「銀行法務21」20年10月号、経済法令研究会)。

 「でも、銀行関係者の皆さんは「『元』でも『現役』でも、具体的なリスクにかかわらず総合的に判断して断りたいことに変わりはない」とバッサリ。世間様は冷たいなあと思うことしきりですが、これが現実なのでしょう。

 毎度同じオチですみませんが、銀行口座すらない元ヤクザは、どうやって生活できると思いますか? かなりの確率で新たな犯罪に手を染めます。被害者が読者の皆様やご家族様でないという保証はどこにもないのです。

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2022/09/11 16:00
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