片付けで見つけた義父の遺言書に絶句――“執行人”の名前に「これどういうこと?」
確かに、これまで遠距離でありながら義父母のもとに通って、二人の様子を見ながら、介護サービスの手配をし、義父母の2人暮らしがこれ以上無理だと思えば、ホーム探しをしたり、義父の義母への暴力沙汰が起きると義母を別のホームに転居させたりと、奔走したのは義姉だ。
それでも夫は長男として、何かあるたびに話し合いもしたし、義姉の都合がつかないときは今のように真山さんや娘が通っている。コロナ前にはたびたび面会にも行った。まったく何もしなかったわけではない、と真山さんは言う。
「執行人に義姉の名前があるということは、義姉は遺言書の存在を知っているということですよね。私たちにはまったく知らされていません。そのことが遺言書の中身がどうなっているかを物語っていると思いました。娘もそう感じたから、写真を送ってきたんでしょう。なんだか、義姉の代わりに私や娘が職場に頭を下げて休みをもらって、高い交通費をかけて何往復もしているのか、むなしくなってしまって……」
遺言書の内容はわからない。それだけに、その執行人の名前だけでこれほど心が揺れるとは思わなかったし、そんな“小さい”自分に嫌悪感も抱いている、と自虐的に笑った。
こんなことなら、義父母の家を片づけたりしなければよかった。それとも、今のうちにわかってよかったと思うべきかもしれないとも思う。遺産に差をつけられているのなら、その心つもりで今後の遠距離介護を考えよう……。葛藤しながら、真山さんは今月も新幹線に乗っている。
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