コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

『週刊さんまとマツコ』めるるを当てこする菊地亜美に見る“悪い思い込み”

2022/07/07 21:00
仁科友里(ライター)

 しかし、さんまによると、めるるが毒舌をやめたのは、事務所からの業務命令だそうだ。なんでも、めるるが最初にかみついたのが、女優・泉ピン子だったという。同番組の共演者である麒麟・川島明は、ピン子を「狂犬」と表現したが、芸能界の大先輩にしてコワモテとうわさされる人物にかみつくのは、どう考えても得策ではない。事務所がめるるにかみつき禁止令を出すのは当たり前のことと言えるだろう。

 朝日はめるるのルックスが優れていることは認めつつ、芸人と朝日、めるるで大喜利企画に挑戦したところ、「ハナコの菊田(竜大)さんよりウケてて」と笑いのセンスが高いことを証言している。つまり、力があるから売れたということで、めるるが計算高いというのは、菊地の思い込みだろう。

 売れている人を軽く当てこすって笑いを取るのもバラエティの技の一つだから、これはこれでアリなのだが、菊地に「めるるはズルい」という気持ちがまったくなかったとは言い切れない。このように、自分から見てうまく行っている人が「ズルをしている」「トクをしている」と思いが強くなったとき、それは悪い思い込みである可能性が高いように思う。

 「あの人は実力があるから認められている」と思ったら、見習うとか、逆に「あの人には勝てない」と白旗を上げるのが一般的な反応だろう。しかし、「あの人はズルをして認められた」と思っていると、納得できない思いがあるために、自分の仕事に集中できなくなって、パフォーマンスが落ちてしまう可能性がある。

 芸能界のようにオファーがあって初めて成立する仕事も、会社員も、評価のされ方というのは実は不透明な部分が多い。だからこそ、「あの人はズルをして認められた」というようなマイナスな思い込みをしないように注意をする必要があるだろう。

 幸いにも、菊地の場合、番組内でバラエティ界の大物、島崎和歌子のモノマネがうまいことが判明した。さんまも「これで菊地、1年いける」とお墨付きを与えている。悪い思い込みを捨てて、モノマネを磨き、バラエティの世界で活躍してほしいものだ。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/07/07 21:00
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