コラム
パワースポットの裏側
「恋愛成就」「女人守護」のパワースポット神社に知られざる落とし穴! 願い事を叶えるお守りの本当の意味
2022/07/23 17:00
そんな遊廓に鎮座する神社が、「女性を守護する神社」に育っていくのは自然な成り行きだろう。社伝によれば豊臣秀吉により現在の地に遷されたとか。移転の理由は説明されていないが、本来市場の守護神であった神社が、多くの遊女がお参りするうちに、女人守護の意味合いが強くなっても不思議はない。
彼女たちがこの神社で何を祈ったのかはわからないが、「好きな人と結婚できますように」といった、夢見がちなものではなかったと想像できる。戦国時代に日本へ持ち込まれたとされる梅毒が、多くの遊女の命を奪ったことから、当病平癒を祈った可能性も高い。そしてそれは、吉原遊郭に鎮座する吉原神社など、ほかの遊廓のそばにある女人守護の神社にも同じことが言えるだろう。
むろんそれでも女性の守護神であることは間違いがなく、女性の幸せを祈っていけないわけではない。鎌倉時代以前は、少なからぬ教養高い遊女が天皇や上皇、女院に仕えていたとされるし、さまざまな境遇の遊女がいたであろうに、ただ「遊女だから」と哀れむのもおかしな話だ。
しかし、江戸時代以降には、苦しい思いをした遊女たちが数多くいた。彼女たちに一切心を寄せることなく、「好きな人と結ばれたい」ましてや「好きな人を略奪したい」などと祈ったとして、長く遊女たちを見守ってきた神の同情を得られるだろうか。