Hey!Say!JUMP・山田涼介は「コップの水があふれた」――臨床心理士が語るアイドルの葛藤
――先ほど「自分が成長できてる感じがしない」ことがアイドルたちの葛藤につながるとおっしゃっていましたが、ジャニーズに関して言うと、ファンはもともと、彼らの「未熟さをかわいがる」ような部分があると感じています。
藤井 自分はスキルアップしたいと思っているにもかかわらず、ある種の「未熟さ」が芸能人としてその人の魅力になっているとしたら、それは心理学で言う「自己実現できない」状態。つまり、理想の自分と現実の自分が重なっていかないわけです。
これは仕事への向き合い方として一番よくないというか、いずれ「もう辞めたい」という気持ちが強くなってしまいます。ひどい場合だと「消えてしまいたいな」って思うようになる人もいますね。
――Hey!Say!JUMPは全員が10代の時にデビューしているのもあって、ファンのみならず、世間もその頃のイメージが強いんじゃないかなと思います。ちなみに、アイドルがデビューするのにちょうどいい年齢って、どのくらいなんですか?
藤井 理論上は22歳。個人差はありますけど、アイデンティティが確立される年齢は、22歳前後とされているからです。一般的に、大学を出て就職するタイミングが、アイドルにとってもデビューにちょうどいい年齢だと思われます。
でも、アイドルで22歳っていうと、もう“ベテラン”じゃないですか。だから、このくらいの年齢で辞めていく人もいるけど、僕は「これからなのになあ~」って思いながら見てるんです。
逆に、10代でデビューというのは、かなり本人に無理をさせていると思います。内面では自分というものがまだ定まっていない中で、「魅せる自分」を作っていかなきゃいけないですからね。
「未熟さをかわいがる」ことも、日本のアイドル文化の特徴だと思うので、それはそれでいいんです。一方で、成熟した人の魅力を受け入れていくような文化風土にもなっていくと、アイドルが活動する環境はもっと良くなるんじゃないですかね。ファンの捉え方だけでなく、芸能事務所も考え方を変えてほしいと思います。