仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

『ロンドンハーツ』モグライダー・ともしげに見る「笑える性格の悪さ」の条件

2022/06/09 21:00
仁科友里(ライター)

上沼恵美子の問いは、「性格が悪い芸人」の印象を薄める

 一方で、笑える/笑えない以前に、「単に性格が悪い人」と見られないことも大事で、そのためには、性格の悪さに「理由がつく」ことも重要だ。ともしげの「性格の悪さ」に“理由”があったとしたら、彼のエピソードもまた、印象がよくなると思う。

 その“理由”の手掛かりになるのが、吉本興業との契約を解消された元雨上がり決死隊・宮迫博之についての話題をめぐる、『上沼高田のクギヅケ!』(読売テレビ、2019年7月21日放送)出演者たちのやりとりだ。この時、月亭方正は「応援したい」、FUJIWARAの藤本敏史は「雨上がり決死隊がなくなるのはつらい。ずっと一緒にやってきた」と語り、宮迫との交際を絶たないかのようなスタンスを取っていた。

 お世話になった先輩だろうし、個人的な付き合いもあってのコメントだろうが、MCの上沼恵美子は、そんな彼らに「そうなん? 芸人ってそんな熱いの。あの人がいなくなったら、僕ら上がれるのにと。今回(吉本には)6,000人も芸人さんがいるとわかった。そら、1人でもおらんようになったらええかと」と疑問を投げかけたのだ。

 これは、たとえお世話になった先輩であろうと、ポジションが空いたらそれをチャンスと考えるべきという“プロ根性”がないのかと問うているのだろう。売れたい、前に行きたいというモチベーションは、人気商売においては重要だと言える。この観点から見れば、ともしげがほかのコンビの解散を喜ぶ“理由”は、「ライバルが減ったから」「その分、自分にチャンスが回ってくるから」……つまりプロに徹していると見ることもできるため、「性格が悪い」という印象自体が薄れるだろう。

性格がいい人、悪い人の科学