『上田と女が吠える夜』馬場ももこの女子アナ妬みトークが「ヘタクソ」だと思ったワケ
一般に人を妬むのはよくないこととされている。「人を呪わば穴二つ」ということわざがあるが、人を妬んだ結果、こんなバチが当たりましたと「自分を笑う」ことで、吉田が単なる妬みっぽい人でなく、正直で賢くてユーモアのある人物であることを視聴者に印象づけていると言えるのではないだろうか。
元キー局の有名アナウンサーがこれだけやっているのだから、地方局出身の馬場は「自分を笑う」方向性で、この上を行くオリジナルエピソードを披露しなくては、視聴者、制作側、双方の記憶に残らないだろう。
「妬み」ネタは、そもそも「人を笑う」に行きがちなのかもしれない。馬場アナは、「妬み」を今のバラエティ向けにうまく調理できるのか――。しかし同番組を通して見た後、この疑問自体が実は間違っていて、私が馬場という人物を勘違いしているのかもしれないと思うようになった。
なぜなら、馬場はテレビ局を50社受けたものの、東京と大阪のテレビ局は受けていないといい、その理由を「身の丈に合わない(から)」と明かしていた。推測するに、馬場は「大きなテレビ局は自分には無理そうだから、地方でいいや」と最初から思っていたのだろう。とはいえ、地方のテレビ局も激戦だけに、馬場は50社から不採用となり、しかし、あるテレビ局で内定を得て仕事を始めたところ、そこから全国ネットの番組に出て注目を集め、東京進出も果たしたわけだ。
そう考えると、馬場は「キー局を全落ち、地方局にも落ち続け、恨みつらみを抱える女子アナ」ではなくて、本当は「地方でいいやと思っていたのに、いつのまにか東京のテレビ局で仕事をするようになった超ラッキーガール」なのではないだろうか。だとすると、妬ましいトークがヘタクソでも不思議はない。なぜなら、妬んでいないからだ。
テレビの中の馬場を見ている限り、あまり恨みつらみのようなものは感じられない。案外おっとりしているのかもしれないが、彼女に今、ブレークの大きなチャンスが来ていることは確かである。別に「妬み」でなくても、人を傷つけない「自分を笑う」方向の新鮮で面白い話ができればいいわけだから、準備を入念にして、チャンスを生かしてほしいものである。