東京ディズニーリゾート「有料ファストパス」の問題点! USJ「Eパス」のような“高額化”も……テーマパーク専門家が警鐘
TDRもUSJのように有料ファストパスを拡充していくと予想できる中、もしそうなった場合、ゲストの経済格差が浮き彫りになってしまう。裕福なゲストは、躊躇なくファストパスを購入、待ち時間を短縮し、たくさんのアトラクションに乗ることができる一方、庶民のゲストはファストパスに容易には手が出せず、結果、長い待ち時間を強いられるなんてことになる。ファストパスの過度な高額化は、ゲストの心がTDRから離れてしまうきっかけになり得るし、もっと言うと、「夢の国」なのに夢がなくなってしまうのだ。そもそも有料ファストパスは「時間短縮」を売るサービスなので、なんともアメリカ型資本主義らしい。資本主義とは、金持ちばかり得をする世界なのである。
思えばTDRでは、待ち時間の改善策として、一部のショーや人気アトラクションを対象にした「アプリによる抽選制」が広まっている。当選した人は、指定された時間に該当の施設に足を運べば、短い待ち時間でショーやアトラクションを楽しめるようになった。確かに便利ではあるのだが、アプリを使いこなせない層には、優しくないシステム。TDRはすでに情報強者がより得をする流れにあり、これが有料ファストパスの拡充によって、「裕福な情報強者」向けのテーマパークとなるのなら、やっぱり夢がないように思う。
とはいえ、ゲストにとって待ち時間こそがTDRのネックとなっているのは間違いないだろう。そこで私が期待したいのは、おひとり様向けの「シングルライダー」が発展することだ。シングルライダーとは、偶数人数向けにできているアトラクションに、3人や5人など、奇数グループのゲストが乗る際、1人分の「空き」ができてしまうが、そこに1人客が優先的に乗れるという制度。
TDRにも以前からある制度だが、アメリカのディズニーランドやUSJのほうが、このシングルライダーは文化として定着している印象だ。アメリカでは、家族や友人などグループで来園していても、待ち時間短縮のため、あえてシングルライダーを選ぶ人がいっぱいいる。またUSJでは、エントランスに通常の待ち時間とは別に、シングルライダーの待ち時間を表示しているのだ。TDRでも、シングルライダーがもっと盛んになったらいいのにと思わずにはいられない。