「低気圧頭痛の対策に着圧ソックス」は意味ナシ! 梅雨入りで見直したい、頭痛の原因と対策
――飲み物以外に頭痛の対策法はありますか?
清水 糖分は大事です。仕事が長時間になると頭痛になる人がいますよね。デスクワークは脳をとても使うので血糖値が下がり、脳血管が緩みがちになり頭痛になる。だから、仕事中は飴玉をなめてください。チョコレートは血管を拡張させる物質が入ってるからダメですよ。
一番良いのは、コーヒーに砂糖を少し加えた微糖コーヒー。アメリカでは片頭痛の人は一日6食にして血糖値をキープするよう推奨されています。それほど、血糖値は片頭痛の人にとって重要なものなんです。ちなみに、糖質ダイエットは片頭痛の人は絶対にダメ。頭痛が一気に悪化します。
また、ポニーテールや三つ編み、夜会巻きといった髪形は、頭皮を支配する三叉神経が刺激されるため、片頭痛の人には頭痛が起こりかねません。頭皮を過剰に引っ張り続ける髪形は避けましょう。
――片頭痛持ちは女性に目立つような気がするのですが。
清水 女性ホルモンと非常深い関係がありますからね。頭痛のときは、まず脳の血管が縮んで、その後に膨らんでくる。その伸び縮みに関係するのが、脳内物質のセロトニンです。セロトニンが減少すると血管は膨らむのですが、その増減は、女性ホルモン(エストロジェン)と連動する傾向にあります。そのため、月経の前後などに女性ホルモンが激減すると、セロトニンも激減し、血管が拡張します。だからPMSや排卵日に連動して頭痛が起こるといわれているんですね。
そもそも、片頭痛になる人/ならない人は遺伝であり、大体が母親から受け継がれることがわかっています。そして女性の片頭痛の特徴は、“敏感性”なんです。温度差、気圧差、女性ホルモンの増減などを敏感に読み取って頭痛を起こす。
一方、男性の片頭痛に影響するのは気圧と休日。「明日は休みだ」と思ってホッとして寝る。すると、リラックスして副交換神経が優位になり、血管が膨らむ。そして頭痛になります。また、休日は平日より食事の時間が遅くなることで血糖値が下がる。だから、休日でもちゃんと早起きして、食べることが大切です。寝すぎで頭が痛くなるのも、副交換神経が優位になって緩むのと、血糖値が下がっているからです。
――片頭痛と長年付き合うことで、なにか大きな病気になることはありますか?
清水 頭痛の際には、脳が異常な興奮状態に陥っていることが多く、そのような状態を長年、何度も繰り返すことで、脳に興奮がこびりついてしまうんですね。それで、ちょっとした音や視覚的な刺激でも苦痛になったり、寝付きが悪くなったり、感情的になったり、耳鳴りやめまいに悩むこともあります。目つき、顔つきまでも変わってきます。頭痛が引き起こす、そうした悪影響を「脳過敏症候群」と名付けました。だから、片頭痛は痛みがつらいのも事実ですが、それよりもこうした興奮状態が続くことのほうが怖い。表面の痛みだけを取り除いても、あとからツケが回ってくる。
まずはそうならないためにも、飴をなめて、微糖コーヒーを飲んで、市販の頭痛薬をうまく活用して、日常生活から予防をしっかり心がけてください。間違っても、着圧ソックスではありませんよ。
(解説:清水俊彦 取材/文:サイゾーウーマン編集部)
※2020年2月14日初出の記事に追記、編集を加えています。