コラム
オンナ万引きGメン日誌
“女優”万引きGメンが激怒した「卑劣な盗撮犯」、その後味の悪い結末
2022/05/28 16:00
邪魔をするべく、大きめの声であいさつをしながら室内に入ると、店長は美智子さんの手を離して平静を装いました。それに気付かぬふりをしたまま、一連の報告を済ませて報告書の控えをいただき、美智子さんを連れて足早に事務所から立ち去ります。
「大丈夫? 店長に、手を握られていたでしょう?」
「はい。お礼にごちそうするからって、断っているのにしつこくて、すごく嫌でした。タイミングよく入ってきてくれてよかったです」
「クレームを入れるなら、一緒に言ってあげるわよ」
「お願いできますか? 盗撮犯を捕まえた後、すぐに自分が触られるなんて、ちょっと許せないです」
その日の下番時、会社の営業担当にクレームを入れましたが、なんの音沙汰もなく事態は終結。その書店で、私たち2人が巡回する機会はなくなったものの、件の店長が処分を受けるような話は一つもありませんでした。
苦情を申し立てて、今後の取引に悪い影響が出たら困る。そのあたりが会社の本音のようで、すべてがうやむやにされ、後味の悪い結末になりました。その後、しばらくして美智子さんは退職し、いまは小さなスナックのママとして活躍されておられます。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
最終更新:2022/06/07 16:37