昭和マニアの町あかりが推す、『男はつらいよ』 “寅さん”超えの理想の男性「タヌキ社長」とは?
――『男はつらいよ』の魅力は、女性から見てどんなところにありますか?
町 『男はつらいよ』も何も知らない女性がタイトルを聞くと、「ヤクザ映画かな?」「男を慰めるような、男が見て気持ちがいい映画なのかな?」って思うかもしれないけど、実は女の人が幸せになる映画なんですよね。マドンナたちは恋愛や結婚、仕事の大きな悩みを抱えていて、それを寅さんや柴又の人たちが支えてあげて、問題を解決したマドンナが幸せになると共に、最終的に寅さんがフラれてしまうという。
寅さんはいつまでたっても全く幸せになれないんですけどね(笑)。中には受験や就職に苦労する10代の中高生も登場しますし、マドンナたちの悩みに現代の働き盛りの若い女性は絶対に共感できるはずです。昭和のカルチャーって知れば知るほど面白いんですよ!
――ちなみに、寅さんとタヌキ社長はどちらが理想の男性ですか?
町 絶対にタヌキ社長ですね! だって寅さんは安定した職業じゃないし、わがままだし、他人に迷惑をかけるし、問題ありすぎ(笑)。それに比べて、タヌキ社長は日本酒への熱意を持ってコツコツ仕事をするし、人柄が良くって部下にも慕われていてるし、寅さんとは真逆です。しかも、経営者ですから経済力がありますしね(笑)。房子が恋焦がれる気持ちはすごくわかります。寅さんも魅力的ではあるんですけど、個人的には断然タヌキ社長です。
――最後に「タヌキ社長」の見どころを改めてお願いします。
町 ひと言で言うと、本当にアホなバカ映画です(笑)。でも、勧善懲悪のストーリーで本当に素敵な物語です。きっと皆さんはこのコロナ禍の2年間、自分の人生や世の中のことを一生懸命に考え続けてきたと思います。もう、ここら辺で真面目に考えるのを一旦休憩して、自分を甘やかして嫌なことを忘れる時間も大事だと思うんです。この「タヌキ社長」は何も考えずに、ただ「あはは!」と笑うにはぴったりの作品です。ぜひ映画館に足を運んでご覧いただければと思います!
(構成=中野龍/フリーランスライター)
『タヌキ社長』
2022年5月20日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ他 全国ロードショー
監督:河崎実
キャスト:町あかり、関智一(タヌキ社長の声)、ジャンボたかお(レインボー)、池田直人(レインボー)、モト冬樹、吉田照美 ほか
製作:有限会社リバートップ
主題歌:ぼんぼん花―――火
キャラクターデザイン:森野達弥
配給:TOCANA