甘い酒として流行した「三河みりん」とは? 調味料ソムリエが「九重櫻」をおすすめ
――地元で愛され続ける、家庭料理の味。北海道から沖縄までそれぞれの地域でロングセラーを誇るローカルな商品を、調味料ソムリエ/野菜ソムリエ・MICHIKOさんが紹介していきます。
愛知県の味:【本みりん「九重櫻」】
今回は、九重味淋株式会社 本みりん「九重櫻」です。1772年の江戸時代、創始者が三河地方がみりんの醸造に適しているのではないかと考え、みりんの製造を始めました。創業250年、歴史ある製法を今に受け継ぐ「三河みりん、発祥の醸造元」です。
原料は、甘さの決め手となる良質で大粒の国内産「もち米」、44時間かけて造る伝承の技がいきた「米麹」、清酒造りにも似た醸造方法から丁寧に蒸留した香り豊かな「本格米焼酎」、素材選びに妥協はありません。蒸したもち米と米麹を合わせて米焼酎を加えて仕込みます。
米麹はみりんの香りとなり、酵素の力で甘みと旨みを引き出してくれます。出来上がったもろみは約2カ月寝かせて熟成。それから酒袋に詰め、漕(ふね)の中に積み上げるように並べ、一気に搾らず、よい味が生まれるように2日間かけて徐々に圧力を加えて搾ります。
搾ったみりんを熟成するのは、築300年を超える長い歴史を持つ「大蔵」。ここでみりんは静かに呼吸しながら、半年~1年の間、眠りにつきます。色は黄金色に変化し、芳醇な香り、味に深みを増したツヤのある日本伝統の調味料「本みりん」が出来上がります。
江戸中期には、みりんはお酒が苦手な人や女性でも楽しんで飲むことができる甘いお酒として流行し、後期になると、江戸で繁盛していたうなぎ屋やそば屋が料理のコクやうま味、甘みを引き出す調味料として注目し、「三河みりん」は現在に至るまで、料理に欠かせない存在になりました。
【本みりん「九重櫻」】アレンジレシピ:鮭とタケノコのみりんケチャップ焼き
上品な甘さとほのかな酸味、隠し味の生姜が春野菜とよく合う♪ 魚の臭みや春野菜の苦みを本みりんがおいしい味わいに♪
【材 料】(2人分) | 分量 |
鮭(生) | 2切れ |
小麦粉 | 小さじ2 |
タケノコ(ゆで カット) | 60g |
スナップエンドウ | 5本 |
オリーブオイル | 小さじ2 |
A)本みりん 九重櫻 | 大さじ2 |
A)ケチャップ | 大さじ2 |
A)生姜(すりおろし) | 小さじ1 |
【作り方】
1)鮭はひと口大に切り、小麦粉を薄くまぶす。
2)フライパンに、オリーブオイルを加えて、1の両面を薄く焼き色がつくまで焼く。
3)タケノコと筋を取って長さを半分に切ったスナップエンドウ、Aを加えて炒め合わせ、ひと煮立ちさせて、器に盛る。
【本みりん「九重櫻」】アレンジレシピ:大人の彩り野菜のみりんレモンマリネ
【材 料】(2人分) | 分量 |
ミニトマト(3色)、きゅうり、長芋などのお好みの野菜 | 約150g |
A)本みりん 九重櫻 | 大さじ2 |
A)オリーブオイル | 各大さじ1 |
A)レモン汁 | 各大さじ1 |
【作り方】
ジッパー付きの袋等にA)とお好みの大きさに切った野菜を加えて混ぜ、30分~、漬け込む。冷蔵庫で冷やしても。
*アルコールが苦手な人は、本みりんを「煮切りみりん」(本文参照)にしてから使いましょう。
レンジで1分「煮切りみりん」はシロップに!
古くから伝わる本来の製法で造られた“本みりん”。上品な甘み、コクのあるうまみ、さらにてりやつやを出したり、煮崩れや生臭さを消す等、沢山の働きがあります。いつもの料理に本みりんを使うだけで、料理上手への近道に!
煮物や炒め物、魚の下味、甘味をつける際に砂糖の変わりに本みりんを使えば、うま味とコクに深みを生み出すことができます。
本みりんはアルコール分が約14%含まれているので、「煮切りみりん」を作り、ヨーグルトやパンケーキなどにシロップとして使いましょう。作り方は、本みりん20mlを少し大きめの耐熱容器に入れて、電子レンジ(600w)で1分加熱します。くれぐれも加熱直後、香りを吸い込まないように。
ほかに、入社2年目の社員達が発案して商品化した「泡盛仕込みの本みりん」が2月に発売されました。すっきりとした味わいが特徴です。
これ1本あれば、あなたも料理上手に♪