芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』こだわりと意地の境界線「泣かないでアコーディオン ~シングルマザーの大道芸人~」

2022/04/11 19:48
石徹白未亜(ライター)

 こだわりの強さは美意識や生きる上での美学につながるところでもあり、それは大道芸人というのりえの仕事においてはプラスになっているところもあるのだろう。一方で、シングルマザーとして生きていくにおいては、そのこだわりの強さが時として「意地を張っている」ようにも見えた。

 一方で、番組内ののりえは「意地っ張り」と聞いてイメージしがちな感情的なタイプには見えず、誰かと衝突、対立するシーンはないし、番組スタッフのインタビューの受け答えも、過酷な生活の中でありながら、冷静に言葉を選んで話している。

 しかし近所に、悪い関係ではなさそうな実家もあるのに、月1回の外食ランチもままならないギリギリの生活にこだわるところや、アルバイトが増えると大道芸への思いが薄れると、アルバイトに対し消極的なその様子は、なぜそこまでと言いたくなるほどで、単に意固地になっているようにも見えた。

 もっと実家を頼ったり、アルバイトを増やしたりと、他の選択肢を取り入れてみればいいのにとも思うが、長所と短所は表裏一体なので、「こだわりの強さ」の都合の悪いところだけを減らす、というのもなかなか難しいのかもしれない。

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