コラム
オンナ万引きGメン日誌
女性用下着を大量に“棚取り”した万引き男、コート内のブラジャーに「これは、違う!」と叫んだワケ
2022/04/09 16:00
同じ不審者を同時に発見するのは、2人勤務の現場においてよくあること。裏を返せば相手の挙動が大きな証しともいえ、犯行に至る可能性は極めて高く、エガちゃん似の中年男性から目の離せない状況になりました。ましてや、男性がいるのは婦人服コーナーで、奥さんらしき人など連れの姿も見あたりません。いったい何をしに来たのかわかりませんが、初めに手にする商品を見れば、その目的も明らかとなるでしょう。
“棚取り”を確実に見るため、二手に分かれて男性の手に視線を注ぐと、女性モノのスカーフややハンカチを物色しながら周囲の様子を伺う気配が見てとれました。そのままフラフラと女性用の下着売場まで歩を進めた男性は、カラフルなショーツとブラジャーが吊るされている棚の前で足を止めて、少し離れた場所で品出しをする店員の動向を気にしています。
するとまもなく、ハンガーのクリップについた下着をむしり取った男は、それらを次々とビジネスバッグの中に詰め込みました。特に好みはないようで、手当たり次第に手際よく、いくつかのセットを隠すと、ビジネスバッグのチャックを閉めて出口に向かって歩いていきます。
予想を上回る早足についていけず、大きく引き離されてしまいましたが、リョウくんが射程圏内にいるので慌てる必要はありません。先に出た2人から少し遅れて外に出ると、制止を無視して立ち去ろうとする男を、必死に引き止めるリョウくんの姿がありました。
もみ合う2人のところに駆け寄り、強引に歩を進める男の腕にしがみついて制止するも、火事場の馬鹿力を発揮されているようで止まりません。
「おい、待てよ! これ以上暴れるなら取り押さえるぞ」
「違う、ちょっと待って! 離せ!」