コラム
オンナ万引きGメン日誌

女性用下着を大量に“棚取り”した万引き男、コート内のブラジャーに「これは、違う!」と叫んだワケ

2022/04/09 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です。

 ようやくに暖かくなり、桜の花びらが舞う季節になりました。煮しめやおにぎりを持ち寄り、友だちとお花見を楽しみたいところですが、自粛ムードから抜けきれずに今年も断念。新型コロナウイルス蔓延以降、友人たちと顔を合わせることはなくなり、毎年恒例のイベントも消滅の危機を迎えているように感じます。またみんなと顔を合わせて、お酒を片手に笑いあえる日は、いつの日か。その日が来るまで生き延びようねと、みんなで励ましあいながら、ウクライナの状況を見守る毎日です。

 現場で頂く指令にも季節感があって、これから夏が終わるまでは、商店内における盗撮行為やトイレへの連れ込みなど、性犯罪に対する警戒が強化されます。女性の肌の露出が増えるとともに増殖するカメ(警察用語で痴漢のこと。覗き見る時に首を伸ばす特徴から)は神出鬼没で、捕捉するときには万引き犯と同じく、その挙動で判断するほかありません。

 このところ俳優や映画監督に性行為を強要された女優さんの告発が話題になっておりますが、商店においても性犯罪は頻発していて、多くの被害者が生まれているのです。今回は、それとは違う性的趣味の万引き犯について、お話したいと思います。

 当日の現場は、都内から車で1時間ほどのところに位置する大型ディスカウントストアD。巨大駐車場を擁し、広大なフロアでさまざまな商品を扱う地元で人気の巨大激安店です。この日の勤務は、午前10時から午後6時まで。2人勤務のため、この日のパートナーである男性保安員のリョウくんと現場近くの駅前で待ち合わせて、バスを乗り継いで現場に入りました。

 キャリア5年目のリョウくんは、34歳。この仕事は副業で、万引きの現場でしか味わえない興奮が癖になって、月に数日は現場に入っているそうです。一見、ガラの悪い感じに見える方ですが、柔術道場に通うスポーツマンで、その捕捉能力は高く、たとえ被疑者に殴られても離さないタイプの職員といえるでしょう。

「最近は、どう? 挙がってる?」
「そこそこですけど、最近は子連れが多いですね。前回は、幼稚園児の子どもを2人連れた30歳の女で、大量のチョコエッグをやりました。生活費が足りないからメルカリで売るんだって、そんなのばかりです」
「確かに。旦那が失業したからとか、お店がつぶれたからとか、そんな人が多いわよね」
「コロナで外国人が少なくなった分、主婦が増えている感じがしますよね。高齢者は相変わらずだけど」

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