サイゾーウーマンコラム40代で若年性認知症になった夫 コラム 老いてゆく親と向き合う 40代で若年性認知症になった夫――「逆に雄弁に社交的になった」変化に戸惑う妻 2022/04/03 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う?老いてゆく親と向き合う 若年性認知症当事者の妻として注目される違和感 「夫と二人でインタビューに答えたり、カメラマンから言われるままにポーズを取ったり……私は人から注目されるのは苦手でしたし、若年性認知症当事者の妻として世間から知られるようになることにも違和感がありました。いやおうなしに、これまでの私たちの生活が変わっていくようでした」 生き生きとしている夫には、そんな気持ちは言えなかった。 「夫もがんばりすぎているようで、心配しています。私から見ると、疲れているせいか、症状の進みが速い気がしています。外ではしっかりしているように見えても、家の中ではいろんな症状が増えているんです。少し活動を減らした方がいいんじゃないかと思いますが、本人は『大丈夫』と言うばかりで」 もうひとつ、上原さんが心を痛めていることがある。それが、誹謗中傷だ。 「インターネットなどを常にチェックしているわけではないのですが、どうしてもいろんなところから悪いうわさが耳に入ってきます。病気を売りにして、お金儲けをしている。有名人気取りだ。本当の認知症はそんな甘いもんじゃないとか。夫も気づいていないわけはないと思いますが、私には何も言いません」 本当は静かに暮らしたい。夫が自分のことがわからなくなる前に、家族の思い出をつくりたい……。そんな言葉はずっと飲み込んでいる。 夫がやりたいと思うことは、できるだけ応援してあげたい。でも、夫の認知症がもっと進行したら、寄ってきた人たちは潮が引くようにいなくなってしまうだろう。不安は大きくなるばかりだ。 前のページ12 坂口鈴香(ライター) 終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 記事一覧 最終更新:2022/04/03 18:00 Yahoo 明日はわが身 若年性認知症の夫と生きる 南田 佐智恵 C:並 G0520B 飲み込んでる夫への言葉、伝えてほしいな 関連記事 老人ホーム、入居者の“愛人”疑惑の老女――高齢者は“清く正しい”ワケじゃない?【老いてゆく親と向き合う】認知症の義母の介護中に、倒れた夫……ダブル介護を背負った嫁 【老いてゆく親と向き合う】60歳で若年性認知症になった母――心中考えた父と娘、関わらない息子【老いてゆく親と向き合う】認知症の母は壊れてなんかいない。本質があらわになっただけ【老いてゆく親と向き合う】母の愚痴、ボケが進んだ父――「いい加減にしてくれよ」と親を叱る一人息子の憂鬱 次の記事 5時間で散財額20万円超え! 買い物狂いの末路 >