コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験で習い事は辞めるべき? 両立させた息子が過労で入院、母親は「誘導を間違えた」!?
2022/03/27 16:00
由希さんのモヤモヤの理由はおそらく、これだ。
「こう言ってはなんですが、今の学校の偏差値はお世辞にも高いとは言えず、難関大学に入学する生徒は本当に少ないんです。もし、大樹が受験を優先してくれていたら、今頃は、大学実績も良くて、サッカーも強い学校でエースストライカーになっていたんじゃないかな……って思っちゃうんですよね。このことは、大樹には絶対に言えないですけど……」
実は、大樹くんの小学校時代の3期上の先輩が同じようにサッカーと勉強の両立で悩んだ時に、その先輩の母親はこう言って、先輩を受験一筋にさせたのだという。
「サッカーは中学になってもできるでしょ? 今、勉強しておけば、中学高校と6年間、サッカーやり放題よ?」
その先輩は結局、難関中高一貫校に入学。それなりにサッカー部も強い学校だそうで、先輩はエースとして活躍しながら、慶應義塾大学に合格。そのことを耳にしたのが由希さんのモヤモヤの原因のようだ。
「最終的には、本人の意思を尊重するしかないってことはわかっているんですが、私の誘導が間違っていたように感じてしまって、気持ちが晴れません。救いは大樹が今の学校を気に入っているってことだけですね……」
人生に「たられば」はないことは誰もが承知していることであるが、由希さんのように、過去のできごとまでをいろいろと思い悩んでしまうのも、親なればこそかもしれない。子育ては正解がないだけに、本当に難しい。
最終更新:2022/03/27 16:00