コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験で難関校に合格、将来安泰のはずが……東大合格発表日にモヤモヤする母親
2022/03/13 16:00
中高一貫校の売りのひとつに、先取りカリキュラムがある。高2までにほとんどの履修を終えて、高3の1年間を大学受験対策に充てるというものだ。何やら素晴らしいしくみに思えるかもしれないが、意外と忘れられがちなことがある。それは“学習進度が速い”ということだ。難関校になればなるほど、一度、理解できなくなると、授業についていくのも大変になる。陸くんのように補習常連者になる場合も多いし、難関校専門の補習塾に通わざるを得ないケースもたくさんあるのだ。
「陸も、それなりに頑張ってはいたんですが、やってもやっても周囲との差は開く一方で、次第に劣等感に苛まれるようになったみたいです。それでも、プライドはあるので『学校は辞めたくないけど、勉強はもうしたくない』って言うようになってしまい、高3の時にはすでに受験レースから外れていました」
結局、陸くんは日東駒専のひとつに進学。現在、大学1年生だ。もちろん、陸くんの大学も私立大の入学定員管理の厳格化の影響で難化傾向は続いており、決して広き門ではない。それでも、佐和子さんは今も納得できないと言う。
「正直、今も、浪人してくれたらよかったのに……とも思うんですよ。でも、陸が『浪人はしたくない』って言うので、もう仕方ないですよね。あんなに頑張った中学受験だったのに、この結果かぁ……って思うと、同級生たちの実績がすごいだけに、やっぱり残念な気持ちはあります」