中国アイドルオーディション番組『偶像練習生』大ヒットの功罪ーー政府の「推し活」規制に、現地ファンの“意外な本音”
yumeさんはジャニーズや声優のファンを経て、現在は、昨年中国で放送されたオーディション番組からデビューした男性アイドル・Aさんを推している。ファンサイトを運営した経験もあり、今は国からの規制を受けながらも、Aさんの後援会では事務所との情報共有、ファンの組織化管理、ファンイベントの企画などの管理業務に携わっているという。
アイドルの推し活が規制され、デイリーミッションのような活動や、スポンサ―商品への過度な課金や後援会の集金が制限されたことに対して、正直な感想を聞いたところ、yumeさんからは「ホッとした」と、意外な答えが飛び出した。
「アイドル黎明期の推し活は、“もっと多くの人に自分の推しを知ってほしい”という単純な気持ちが大きかったです。しかし、近年のアイドル人気に伴って、推し活は“絶対に他メンに負けたくない(推しが出世するチャンスを奪われたくない)”という、ファン同士の競い合いに変化してしまった。同時に、ファンの精神的な消耗も激しくなっていきました。そんな中、今回の規制があったので、加熱しすぎる推し活から解放されて、内心よかったと思うファンは結構多い。ただ、このままだとファン自体をやめてしまう人が増えるリスクもあるので、後援会に関わる身としては悩みどころです」(yumeさん)
yumeさんいわく、規制の中でもファンを維持するには、アイドル本人が継続的にメディア露出するほか、ファン同士のつながりを保つために、ファンコミュニティ(=後援会)の役割が非常に重要だという。デイリーミッション的な活動はつらいが、これがファンを団結させた側面もあるため、全くなくなってしまうと困る部分もあるようだ。
今後の後援会としての活動展開について聞いたところ、yumeさんは「まだまだ継続するつもり」と述べた。ただ、今はコロナ禍で大人数が集まって集会を開くことは難しいので、規模は縮小して行うという。
「SNSでの布教活動は、推しの今後のメディア露出度に直接関係するので、もちろん継続します。後援会内部でも、定期的に推しが出演したメディアを振り返るイベントを行ったり、ファンアートなどを見せ合う二次創作イベントを開催するなど、ファンが後援会へ参加する意欲を維持していきたいですね」(yumeさん)