カルチャー
中国芸能界とファンの今【前編】
中国アイドルオーディション番組『偶像練習生』大ヒットの功罪ーー政府の「推し活」規制に、現地ファンの“意外な本音”
2022/03/12 20:00
日本のアイドルファンは、好きなアイドルのファンクラブに入会してライブを見に行ったり、グッズやCDを購入したりすることで推しを応援するだろう。しかし、中国の「推し活」はまるで異なる。一言でいうと、ソーシャルゲームに近い感覚だ。
まれに公式ファンクラブを設ける事務所もあるが、多くの場合はファンが自発的にコミュニティを組織化して「後援会」名義で応援活動を行っている。その上で、一番“普通”の応援活動は、推しのSNSに「イイね!」を押したり、コメントをしたり、いろいろなサイトで行っている「人気ランキング」の上位に推しを食い込ませるために投票するといったこと。ソシャゲでいう「デイリーミッション」のような活動が中心である。
もちろんそれだけでは足りず、推しのコラボ商品が出るなどのイベントがあれば、その期間中、ファンは全力で課金する。同じ商品を観賞用、保存用、布教用で3つ買うとかではもう甘い。「今現在、出せるお金を全部つぎ込むことが流儀」だと思っているファンは多いのだ。
というのも、まだ知名度が低く、人気上昇中のアイドルは代表作が少ないため、ダンスや歌のスキルよりも、「推しを布教したい」というファンの熱やグッズなどの購買数が、メディア出演や商品コラボの査定軸になってしまうからである。それをわかっているからこそ、アイドルファンは「デイリーミッション」のような日課をコツコツとこなす先に、必ず推しのさらなる発展があると信じているのだろう。