カルチャー
中国芸能界とファンの今【前編】
中国アイドルオーディション番組『偶像練習生』大ヒットの功罪ーー政府の「推し活」規制に、現地ファンの“意外な本音”
2022/03/12 20:00
一方で、こうしたオーディション番組は100名以上の参加者が、10人程度のデビューメンバーに入ることを目指す。参加者全員に順位がつけられ、上位10名程度がデビューできるわけだが、当然これは簡単なことではない。また、結果は全てがファンの投票次第なので、デビューを決める練習生の順位争いは、ファン同士の激しい対立に直接つながる。投票は無料で行えるものの、番組のスポンサー商品を購入して、付随の投票用QRコードから“票を積む”といった方法もあり、むしろこちらが一般的になっていった。
ファン1人の投票数には制限があるため、効率的に商品の購入や投票をするために、ファンは自ら組織化する。こうして、集められる金額も年々エスカレートしていく。
21年5月、牛乳についている投票券のみを使用して、中身を排水溝に廃棄するファンのニュースは日本でも報じられたが、これをきっかけに、世間ではオーディション番組やアイドルファンたちへのバッシングが強くなった。
結果的に、この投票券を使用していた番組『青春有你3』は放送中止、アイドルファンが多く利用するSNSサービスも利用不可になった。あげく、今後アイドルオーディション番組の制作は禁止との規制が国から通達されてしまった。
このような環境の変化は、中国のアイドルファンたちの「推し活」にどのような影響を与えているのか、現地のファンでないとなかなか見えない、感じられない部分は多い。