カルチャー
[女性誌レビュー]「婦人公論」2022年3月号

97歳の看護師に104歳の理容師! 「婦人公論」90代でも働く高齢者に見るツライ将来

2022/02/23 18:00
島本有紀子(ライター)

 97歳で元気かつ自分でお金を稼げるとは超人的。笑顔でインタビューに応じたり、働いたりしている池田さんの姿は魅力的です。池田さんのような超人に憧れる人が増えれば、やがて人類は90代まで働くことを目標とし始めるのでは……、そうしたら年金受給年齢もさらに上がるのでは……、働くのが好きじゃない人はツライな……など、ぐうたらな身としては考えさせられます。

 ともあれ、「婦人公論」は元気に働く高齢者が大好き。昨年も90歳の絵本作家、90歳のフィットネスインストラクター、104歳の理容師など(いずれも年齢は当時)が登場していました。久本雅美が若者に見えるほど、登場する人の高齢化がどんどん進んでいますが、これからも新キャラ発掘は続くのでしょうか。

74歳ラッパーが示す、ラップと高齢者の親和性

 最後に見ていくのは、読者体験手記のコーナー。今月号のテーマは「独居のヒソカな愉しみ」で、採用されているのは2通。中でも、最近ラップにハマったという74歳のおひとりさま女性の手記がエキサイティングです。

 コロナでひきこもりがちだったこの女性は昨年8月、20代ラッパーと出会います。長年、短歌をたしなんでいたこともあり、ラップのリリックを書いてみたいという新たな夢を持ち、そのラッパーからレッスンを受けることにしたそう。

 ラッパーには「MC名」が付きますが、女性は「コールレイ」と自ら命名。その由来は「高齢」で、まもなく「凍る霊」になるから……とのこと。その尖ったセンスを生かし、どんどん上達していくコールレイ。20代ラッパーから「ラッパーとして見込みあり」とお墨付きを得たそう。「コールレイのお葬式でラップを捧げる」と約束を交わすほど、師弟愛を築いているコールレイ&20代ラッパー。

 楽しそうですね。言われてみればラップはお金もかからず、頭の体操、ストレス発散にもなる。高齢者におすすめの趣味と言えるかもしれません。

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2022/02/23 18:00
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