元極妻が選ぶ「ヤクザ本オブザイヤー2021」! たまには別世界の読書でもいかがでしょう?
有村架純さん主演で映画化もされた『前科者』(香川まさひと・月島冬二、小学館)は、第7巻と第8巻が21年に出ているのと、今年になって知ったのでご紹介です。
しっかり取材されているようで、リアルでおもしろいです。いろんなエピソードから、更生の難しさや、主人公の心の温かさがわかりますね。
また、著者さんの温かさがわかる石井光太さんの『ヤクザ・チルドレン』(大洋図書)もオススメです。ヤクザの親から虐待されてきた子どもたちの証言をまとめたドキュメンタリーで、重要な視点ですし、著者さんがインタビュイーに寄り添っているのが伝わります。
ただ、「ヤクザの子どもたちはつらい人生を送っている」というのは間違いではないのですが、すべてのヤクザの子どもたちが、本に書かれているような体験をしているわけではないです。王侯貴族のような生活をしている子どもたちもいます。
それに、オウム真理教教祖の三女さんなどのようにヤクザのムスメでなくてもつらい思いをされている方もいますし、報道で知る限り、子どもを虐待して殺しているのは「暴力団員」だけではないことは、ちょっと書き添えたいと思いました。いずれにしろ子どもたちを虐待から守るのは大人の責任ですから、ひとごとではないです。
最後に、『突破者の遺言』(ケイアンドケイプレス)も。亀井静香さんなど政治家さんや佐藤優さんなど著名な作家さんが寄稿されている「月刊日本」の連載をまとめたものなので、ちょっとテーマは難しいのですが、読みやすく仕上がっています。あとやっぱり硬めのオピニオン誌「表現者クライテリオン」(2021年11月号)には、任俠道について寄稿されていました。
献本をいただいたからというわけではないですが(苦笑)、万年東一さんから中村哲さんまで登場して興味深かったです。
相変わらず世知辛い世の中で、なかなかゆっくり読書もできないと思いますが、図書館にいらっしゃるのもいいかなと思います。
皆様、よいお年をお迎えください。