元極妻が選ぶ「ヤクザ本オブザイヤー2021」! たまには別世界の読書でもいかがでしょう?
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
ぶっちぎりでおもしろい『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』
毎度言っている気がしますが、「こないだ年賀状を書いたばっかりなのに、もう今年も終わり?」みたいな感じですね。皆様は、今年はどんな本をお読みになりましたか? 元極妻的に気になったご本をご紹介させていただきますね。
今年おもしろかった本は、ぶっちぎりで元刑事・櫻井裕一さんの『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』(小学館)です。昔の事件とかわからないとつまんないかもですが、エグいお話も多かったです。
特に、収監されている子分に荒木村重の評伝を差し入れた「平成の殺人鬼」こと住吉会幸平一家矢野睦会・矢野治会長(当時)のエピソードとか、「おおおお」という感じで読みました。荒木村重は、目をかけてもらっていた織田信長に反旗を翻して妻子をみんな殺されているんですね。要するに、「俺を裏切ったら、シャバにいる嫁や子どもがどうなるかわかってるな」ということですね。懲役の長いヤクザはナニゲにインテリさんでもあるのです。
古い事件が中心で自慢話多めなのは同じですが、元警察官でコンサルタント(多分)の寺尾文孝さんの『闇の盾 政界・警察・芸能界の守り神と呼ばれた男』(講談社)もおもしろかったです。誰とは書きませんが、知り合いがいっぱい出てきて、「あらー懐かしい」ってなりました。有名人がいっぱい出てくるので、80年代バブルを知りたい方はぜひ。
元警察官といえば、藪正孝さんの『福岡県警工藤會対策課~現場指揮官が語る工藤會との死闘』(彩図社)も、さすがに現場の刑事さんですからリアルでしたね。いろいろとツッコミどころ満載で、そういう意味でもおもしろかったです。たとえば市民からの差し入れも「いいこと」として書かれていますが、それがアカンということに気づかないのがすごいです。
また、ヤクザ寄りなのかアンチヤクザなのか微妙な溝口敦さんの『喰うか喰われるか 私の山口組体験』(講談社)は、「昭和のヤクザの記録」というところでは貴重な一冊といえます。
このご本には山口組以外のこともつづられていて、あの細木数子さんや『食肉の帝王』(2014年、講談社)で取り上げた食肉業界のドン・浅田満さんを取材した時のことなどが書かれていますが、作家の生島マリカさんに名誉棄損で提訴されたことについてはノータッチでしたね。
判決は2018年6月で、生島さんはツイッターに「大ジャーナリストっていうのは妄想でも憶測でも何を書いても許されちゃうのかなって。犯罪に関わるでもなく縁もゆかりもない人のことをあれだけ憎悪を込めて書き立てて人生をも奪えるのは怖いなって。それだけです」と書かれています。
まあ負けた裁判なんでアレですけど、ここは御大の言い分を書いてほしかったですね。