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『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』やる気を見せても、すぐに「逃げ出す」人たち「スマホとホームレス ~無料Wi-Fiに集う若者たち~」

2021/12/13 18:49
石徹白未亜(ライター)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月12日の放送は「スマホとホームレス ~無料Wi-Fiに集う若者たち~」。

あらすじ

 都内で生活困窮者の支援を行う佐々木大志郎。困窮者のSOSはスマホから届くという。しかし携帯会社に通信費を払えないほど困窮しているため、端末を街の無料Wi-Fiにつなげている。

 炊き出しの場所、日雇いの仕事探しなど、今の生活困窮者にとってスマホは必需品であり、佐々木もウェブでの情報提供に力を入れ、炊き出しなどの日は自前でモバイルWi-Fiルーターや充電器を持参する。そうした支援活動を続ける佐々木のもとに、SOSを出した3人のホームレス青年を見つめる。

 28歳の山本は料理人だったが新型コロナで店が苦境に陥り、解雇され寮から追い出されてしまう。日雇いの仕事が見つからない日は、何も考えたくないとただひたすら街を歩き回っているという。夜は金があればネットカフェを宿にするが、公園で夜を過ごすこともある。

 生活は一層困窮し、一昨日から何も食べられない状況になり佐々木にSOSを出す。生活保護を申請し、家を決め、新たにスマホ修理の仕事を得る。当初は仕事にやる気を見せていた山本だったが、仕事への愚痴を番組スタッフにこぼすようになり、仕事を辞め、佐々木への連絡も途絶えてしまう。

 37歳の中村は日雇いの仕事をしていたが、携帯料金が支払えなくなり、日雇いのバイトも採用されない状況だという。母とは疎遠で、生活保護の申請を佐々木に促されるも、結局、その後連絡は途絶えてしまい、申請は行われなかった。

 佐々木は生活保護をためらう人が多い理由について、生活保護に良いイメージがないことと、申請に際し親族に照会連絡が行くことへの抵抗があると話していた。

 その後、中村と再度連絡がつながり、今度こそ申請を、となるが、またも約束の日に中村はすっぽかす。生活保護の受給は見送り、実家のある九州で頑張ってみると中村から連絡があった。

 31歳の佐藤は飲食業をしていたが失業。パニック障害とうつの治療を行いながら家族と同居していたが、家族仲がこじれ、出て行ってほしいと母親から言われ、佐々木のもとを頼る。新居を見つけ、フードデリバリーの仕事をしつつ、正社員を目指し就職活動も行っていた。

 なお、3人の青年ともに顔にボカシが入っていたが、持ち物や服装といった見た目にはいわゆるステレオタイプ的な「ホームレス」感はなく、こざっぱりとした印象だった。これはネットカフェや個室ビデオ店など、シャワーサービスを併設した、安く泊まれる場所が増加したことも影響しているという。

 路上生活者は減ったが、ホームレスが減っているわけではなく、見えにくくなっているだけと番組では伝えられており、都内の公園で行われた生活困窮者に向けた弁当の配布には長蛇の列ができ、スマホを手にした若者と思しき男女の姿も散見された。

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