『深イイ』は物件バラエティー、『林修のニッポンドリル』はグルメ企画!? 「これ、何の番組?」3つ
法律バラエティ番組『行列のできる法律相談所』のタイトルが、10月から『行列のできる相談所』(日本テレビ系)に変更された。リニューアル後のコンセプトは、「各界で活躍している今話題の人がスタジオに集結し毎回違ったテーマでトーク」というもの。法律どころか相談そのものも内容から外され、もはや何の番組かわからなくなってしまった。
とはいえ、北村晴男氏といったこれまで出ていた名物弁護士は週替わりで出演。かといって法律関係の話をすることはなく、たまにたわいのない感想を言うのみだ。当初は島田紳助がMCを務め、弁護士も活発に意見していた番組だが、リニューアルを重ねた結果、番組名からかけ離れた内容になってしまった。
この番組だけでなく、当初のコンセプトから大きくズレていき、今や「これ、なんの番組?」と言いたくなるようなバラエティーはほかにもある。
まずは、日曜昼に放送されている『なりゆき街道旅』(フジテレビ系)。その名の通り、街道沿いを“なりゆき任せ”に歩くというコンセプトでスタートした。当初は「何が起こるか行ってみなければわからない」のが売りだったが……。
「今や、ゲストが事前アンケートで答えた行ってみたい場所を、番組が用意したマイクロバスに乗って楽しむという、ただの“接待”番組になっています。内容通りに番組タイトルをつけるなら、綿密にスケジューリングされた場所にマイクロバスで向かう、“ガチガチミニバス旅”ということになります」(放送作家)
同番組は2018年3月末、19年の歴史に幕を下ろした『ウチくる!?』(同)を打ち切って始めたものだ。放送開始から3年、『ウチくる!?』と同じくご長寿番組になれるのだろうか。
フジテレビにはもう一つ、「もはや最初のコンセプトが完全崩壊した」(同)番組がある。水曜午後8時から放送されている『林修のニッポンドリル』は、もともと「日本の素晴らしさ」や「正しい日本語の使い方」をテーマに林修が解説、講義をするといった内容だったが……。
「いつからか、古くて開けることができない金庫を解錠するロケVTRがメインの番組に。さらには『コストコ人気番付』や『銀座コージーコーナー売上番付』といったように、視聴者の興味をそそるショップやメーカーの人気商品を発表する『番付』シリーズを頻繁に放送。特に食品関係の企画が多いため、もはやグルメ番組といってもいいでしょう」(芸能ライター)
なお、出演者の肩書は「担任(メインMC)」が林、「副担任(サブMC)」が千鳥・ノブ、「学級委員長(レギュラーパネラー)」が風間俊介となっているが、学校にちなんだそうした役割も形骸化している。
ほかにも、もはやなんでもありの番組と化してしまったのが『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)だという。
もともとは島田紳助を司会(番組の肩書はスペシャルコメンテーター)に据えて始まった番組で、1分間で人生観を変えるかもしれない「深くて」「イイ話」のVTRを、ゲストが「深イイ話」かどうかをジャッジするというバラエティーだった。
「しかし最近は、司会進行の羽鳥慎一が物件を見に行くロケをプッシュしている。また、芸能人のホームビデオ映像を借りて、モザイクの人物が誰かを当てるクイズなど、なんでもありの内容となっています」(同)
「番組は生き物」とよく言われる。その変遷の結果に支持されていればいいが、かえって人気を落としてしまう危険性もある。“迷走”と諸刃の剣のリニューアル。今回挙げた番組は5年後も生き残っているのだろうか?
(村上春虎)