『ザ・ノンフィクション』笑顔を取り戻した、元不登校児の双子「私が守りたいもの~北の大地 牧場一家の12年~」
不登校の兄妹が、なぜ学校に行けなくなってしまったのか、元気になった2人の口から聞いてみたかったなと思う。父親の病気が一つのトリガーだったとは思うのだが、それだけだったのだろうか。
この兄妹に限らず、不登校の原因には謎が多い。いじめや、周囲になじめなかったり、軽んじられているなどの明確な要因があるとは限らず、本人ですらなぜ学校に行けないかわからない、説明できないケースもある。
兄妹の母も、先に不登校になった兄のほうはそれまで学校に楽しんで通っており、最初に「行きたくない」と言われたときに違和感があったと振り返る。しかし同時に、「目がどんどん死んでいく」様子も目の当たりにしたという。
大人であっても、「生きづらい」ときに何か一つだけがトリガーになっているというケースは少なく、さまざまな人間関係や、本人の物事の捉え方などが複雑にこんがらがっている。おそらく、子どもの不登校も実態は似ているのではないだろうか。
なぜだか本人もよくわからないくらいこんがらがっているから苦しいのだろうし、「なぜ」の答え探しに費やす気力はもうないのだろう。
不登校で今まさに「なぜ」を考える余裕のない人に「なぜ」を聞くのは酷だと思うが、一方で、不登校状態に区切りがついた人(場合によっては「学校に行けるようになった」だけに限らないかもしれない)には、なぜ登校できなくなったのか聞いたほうが、別の人のヒントになるようにも思う。美和のように他人を献身的に世話し、愛情をかけてくれる人はそうはいないのだ。
次週の『ザ・ノンフィクション』は「笑顔の一枚とあなたの記憶 ~家族へのおくりもの~」。東京・中野にある写真スタジオ「素顔館」は、遺影写真専門の写真館だ。もともとは数々の受賞歴のある広告カメラマンだった館主、能津喜代房はなぜ遺影を専門に撮るようになったのか?
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