ムショでは、がんが放置されて死ぬのも「日常」――元女囚が考える刑務所の医療
前にも書かせてもらいましたが、獄中でがんが進行して瑠美の友だちが亡くなっています。これは本当に悲しかったですね。
最近では、2019年に徳島刑務所で亡くなった方のご遺族が国賠(国家賠償請求訴訟)を起こしてますね。やっぱり、がんを放置されていたそうです。
亡くなったのは、瑠美が生まれる前の1971年11月に東京・渋谷で起こった警察と過激派の衝突で、おまわりさんを殺したとして逮捕された星野文昭さんです。75年に逮捕されて無罪を主張しながら無期懲役判決、亡くなる2019年まで44年間も獄中にいてるんですね。徳島につとめてた(服役していた)友だちは、「星野さんは物静かでええ人やった」ちゅうてましたよ。
そもそも徳島は長期刑の施設ですから、中にいてる懲役もごっついですが、前から獄死や医者による虐待などが問題になってましたね。星野さんの支援サイトによると、がんがもっと早く見つかっていれば、死ななくて済んだようです。
なんでもっと早く……と思わずにいられません。食欲がなくなって、体重が減ってきたところで気づいてほしいです。瑠美の友だちもそうでしたし、周囲にはそういう話はけっこうあります。
ほかにも、服役中にがんを放置されて亡くなった懲役の遺族が起こした国賠で国が和解して500万円を払った件や、服役中のカルテを本人に見せないのはアカンと裁判所が判断した件とかの記事が出てますね。
イヤならムショに行かなければええんでしょうけど、そこはそうもいかない時もあります。
ちなみに瑠美は知りませんでしたが、星野さんの奥様は、02年に「獄中者とその家族が子どもを生み育てる権利を求める会」を作って「面会の時に夫婦で二人きりになりたい」とおっしゃっていたそうです。
ムショで「夫婦生活」……。アメリカとかでは普通やけど、日本でも全然アリですね。夢のあるお話ですが、実現されないまま星野さんは亡くなりました。切ないです。ご冥福をお祈りいたします。