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『ザ・ノンフィクション』レビュー
『ザ・ノンフィクション』話すことは破天荒ではなく普通だった談志「切なくていじらしくてメチャクチャなパパ~家族が映した最期の立川談志~」
2021/11/23 11:30
話す内容は、老いということについて、自虐的な笑いに昇華することはさほどせず、率直にネガティブな気持ちを話していることが多い。それなのに不思議と悲痛な感じがなく、言葉が音楽のように軽やかに流れていき、聞いていて心地よさすら感じる。
それは、その「しゃべり方」によるものだろう。とにかく話している調子や繰り出される音が心地よいのだ。個性的なキャラクターで人気を博した人かと思ったが、しゃべりを極めた技術の人でもあったのだ。落語家としての談志のすごさを感じた。
談志の十八番である「芝浜」など、落語自体がすでに台本のあるジャンルだ(創作落語もあるが)。落語が好きな人はオチを知っている落語を何度も聞くし、寄席に何度も足を運ぶ。ネタバレしていても楽しめる、というのは考えてみればすごい芸術だ。落語は「何を話すか」ではなく「どう話すか」が求められ、談志はその天才だったのだろうと、今回の放送で思い知った。
次週の『ザ・ノンフィクション』は『私が守りたいもの~北の大地 牧場一家の12年~』。札幌で生まれ育った美和(当時34歳)が嫁いだのは、北海道・新冠町の競走馬を育てる小さな牧場。命と向き合う休みなしの過酷な日々と、美和が預かった不登校の子どもたちについて。
最終更新:2021/11/23 11:35