成績トップ2の生徒がテストで最下位転落、自傷行為……黒木がかけた“再起の言葉”『二月の勝者-絶対合格の教室-』
前回、下位のRクラスの生徒をマンツーマン指導する新人講師の佐倉麻衣(井上真央)に、「ひいき」ではないかといら立ちをあらわにしていた花恋。ともすれば、「人の気持ちのわからない、かわいげのない子」に見られかねないが、花恋のいら立ちの裏には、「認めてほしい」「褒めてほしい」という切実な気持ちが潜んでいたのだろう。
小学6年生、11~12歳の子どもは失敗や間違いを犯すし、「その子が欲しいものと必要なものは必ずしも一致しない」と黒木は言う。競争心や上昇志向の強い花恋は一見、名門塾・ルトワックの環境が向いているようにも見える。
しかし、学校では優秀さが仇となり、同級生や教師に疎まれている花恋にとって、本当に必要なものは、勉強が得意な自分を受け入れ、褒め、大切に扱ってくれるような居場所と安心感だったのだろう。
であれば、優秀な生徒たちに競争心を煽って追い込みをかける名門塾より、褒めて伸ばしてくれる桜花のほうが好ましい。桜花には、勉強が得意な花恋を慕う女友達だっている。黒木にかけられた言葉もまた、花恋の「必要なもの」が詰まっていたのだと思う。
ただ厄介なのは、大人の側も、必ずしも冷静に、子どもの「必要なもの」を見抜けるとは限らないところだ。現実には、子どもが欲したにせよ、親などの大人の判断で与えるにせよ、子どもにとって「必要なもの」だと判断して与えたはずが、どうやら違っていた、という展開だってあり得る。
黒木は「育つ環境を見紛えず提供していく。大人たちがその経験から慎重に子どもたちの手を引いてやらなければ」とも言っていたが、スーパー塾講師の彼とて、恐らくこれまでの経験の積み重ねがあって、桜花の生徒たちに必要な言葉や環境を見抜けるようになったのだろう。
第4話では、子どもの受験をめぐり価値観の一致しない夫婦の「地雷」を黒木が踏みつけ、爆発する模様が描かれる予定だ。