毒親体験の吉川ひなの、“わが子に与えたいもの”とは? 毒母の連鎖を「終わりにする」と「婦人公論」で決意
次はノンフィクションライター・島内晴美氏によるルポ「いつまでも甘えてくる娘にうんざり」。母親側からの娘に対する思いを取材した記事です。
「知らず知らずのうちに母を支配する娘」「いくつになっても反抗し続ける娘」「親をあてにして自立できない娘」などに対する母親の思いが語られていますが、中でも気になったのは、“コロナワクチンの陰謀論にハマった娘(34歳)”を持つクミコさん(72歳)のパターン。
「しょっちゅう孫を預けに来るんだから、ワクチンを打ってちょうだいとお願いしても、『ママはワクチンで大勢が死んでること知らないでしょ。私が死んでもいいと思ってるわけ?』と真顔で言う」とのこと。「専業主婦の私のことを馬鹿にしていたくせに、自分は仕事を辞めて今は趣味のダンスに夢中」「コロナ下でも子どもを私に預けてレッスンだの、お茶だのと出かけてばかり。それでワクチン拒否だからいい加減にしろと思います」と怒りは頂点に。今後の金銭的援助は断ち切ることにしたそうです。
なんと現代的ないざこざでしょうか。コロナは母娘の溝をも深くする、やはり恐ろしいウイルスです。
読者の本音「生まれ変わったら子どもなんか生むものか!」
最後に見ていくのは同誌名物の読者体験手記のコーナー。テーマは「親心を無視されて」。こちらも親側の目線で、娘への愚痴がつづられます。
一通目の83歳女性は、無農薬・有機栽培で育てた野菜を娘(60歳)に送っていましたが、娘にとっては迷惑だったらしく、あるとき娘から「これ以上嫌がらせはしないでください」と激昂メールが届いたそう。なぜ娘が「こんな怖い娘」になったかを延々振り返る手記の結びは、「今度生まれ変わったら(中略)子どもなんか生むものか。楽しい恋だけいっぱいするのだ」。なんと潔い。この83歳女性の心の叫びに共感する人もたくさんいるはず。
二通目は64歳女性。出産した娘から孫の名前候補を聞いてネットで姓名判断をしたところ、どのサイトでも良くない結果が出たことから、「たまらず婿を訪ね、『姓名判断がすべてではないが、字画は変えたほうがいいのではないか』と懇願」して名前を変えさせたり、娘の湿疹を心配して「部屋の絨毯が原因かもしれないから引っ越してはどうか?」などと提案したりなどを繰り返していたところ、娘から「もう私に関わらないで」と縁を切られたつらい経験をつづっています。
いずれにしても、“わが子のためを思って”の気持ちがあった上でのいざこざ。今号の対談記事で作家・桜木紫乃氏が語っている「子どもにとって薬ばかりで毒にならない親なんていない」という言葉に、すべて集約されるのかもしれません。