カルチャー
[女性誌レビュー]「婦人公論」2021年9月28日号

70歳男が「恋愛モードどっぶり」、80代の水森亜土が友達にあてた“濃い”手紙……シニアの友情に迫る「婦人公論」

2021/09/25 17:00
島本有紀子(ライター)
「婦人公論」2021年9月28日号(中央公論新社)

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)の9月28日号、今回の特集は「友達は、歳をとるほどありがたい」です。同誌によれば「年齢を重ねるなかで友達はよりいっそう代えがたい存在になる」とのこと。

 数々の業界人と友情を築いているテレビプロデューサー・石井ふく子氏(95歳)が語る「友だち付き合いの哲学」や、友人と連絡を取るためにスマホを持つべきか? など60代以上特有のお悩みに答える「誌上相談室」など充実の内容で、シニアの友情に迫っています。男女の友情は成立するのか? といった永遠の問いにも触れている同誌の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎田村セツコ/水森亜土 なかよし二人の往復書簡
◎読者体験手記 男友達は、いくつになっても厄介で
◎田中圭×中谷美紀 夫婦の衝突を避ける必殺技は?

水森亜土の手紙「キャッホーイ!! 節っちゃん」がスゴイ!

 特集内の企画でもっとも興味深かったのは、1938年生まれの田村セツコ氏と1939年生まれの水森亜土氏による往復書簡「なかよし二人の往復書簡」です。二人はともに60年代からファンシーな少女雑誌の表紙などで活躍し、今も現役の80代イラストレーター。お互いにあてた手紙が公開されているのですが、独自の世界観にあふれていて、読みごたえがあります。

 二人の友達付き合いはいつから始まったのか? 現在はどんな交流があるのか? など具体的なことには一切明らかにされません。「何十年のおつきあい」(田村氏)「付かず離れずのゼツミョウな関係。そこがいいんよねッ」(水森氏)などと触れられるのみで、細かいことは謎に包まれています。

 特に水森氏の手紙「キャッホーイ!! 節っちゃん」は、ファンシーかつミステリアス。書き出しでは「How are ya? この頃、どっか痛いとこないの? 私はあります。腰や肩かな」と体調を自己申告。続けて、いつのことか定かではありませんが、田村氏にスカートをめくられた思い出を回想。「(節ちゃんは)私のフトモモの長いスパッツを見て、ワー、ワーッ、キャーと大きな声で笑ってくださったのでス。ギク! グサッ! ブーッ! となっている私をそのままにして、社交的でチャーミングな節っちゃんは、アッと言う間に他の人の輪の中へ!!」「もともと社交的ではない私(!?)は(ホントよ)、ブーッ! ムッとなって、ただ暗い気持ちで帰りました」とつづっています。

 かなり「ブーッ!」となったことが伝わってきます。カタカタを多用する文章が一周、二周まわってなんだか新しい。

 編集部からは「ずっといい関係でいる理由が伝わってきます」とのコメントが添えられていましたが、いえ、それは伝わってはきません。むしろ、お二人にしかわからない特殊な関係が築かれているのでは……と感じる濃い往復書簡でした。

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