オスカーの呪い!? “黒人初”の快挙達成したハル・ベリー、「主演女優賞受賞後も仕事はまったく好転しなかった」と本音吐露
2002年に黒人女性として初めてアカデミー主演女優賞を獲得したハル・ベリーが、受賞後のキャリアを期待したのに肩透かしを食らったと苦々しく語った。
ハルはテレビ女優として活動した後、1991年に『ジャングル・フィーバー』で銀幕デビューを果たし、99年にテレビ映画『アカデミー 栄光と悲劇』でエミー賞やゴールデングローブ賞を獲得。その2年後に、『チョコレート』で映画界最高の栄誉であるアカデミー賞主演女優賞を受賞した。オスカー像を握りしめ、泣きじゃくりながら、「すべての無名の有色人種の女性たちにチャンスが訪れた。今夜、その扉が開いたから」と語った受賞スピーチはあまりにも有名で、「歴史的な快挙」として今なお語り継がれている。
そんなハルが、米誌「エンターテインメント・ウィークリー」9月号のインタビューで、受賞後もハリウッドでの仕事上の立場が変わることはなく、落胆したことを明かした。
ハルは、「名監督からのオファーや映画の企画が舞い込んでくると思っていたのよ。トラックが荷台いっぱいに仕事のオファーを積み上げて、家まで届けてくれると思っていたの。あの受賞は、歴史的に意味のある勝利だった。これで『根本からすべてが変わる』って思うじゃない?」と本音を吐露。
「確かに、私自身は根本的に変わった。でも、仕事における私の位置は、一夜にして変わることはなかった。翌日もいつもの仕事に戻り、道のないところに道をつくろう、キャリアを積み上げようと必死だった」と、女優として最高峰の賞を手に入れてもハリウッドは厳しく、現実はそう甘くはなかったという。
男優が獲得すると、その後のキャリアに勢いがつくアカデミー賞だが、女優たちは逆にキャリアが低迷することが多い。受賞した役のイメージが強くなりすぎてオファーが来なくなったり、作品選びに苦労してようやく出演した作品が「B級映画だ」と悪口を言われたり、「話題づくりのために受賞させてもらっただけ」と陰口を叩かれたり。ハルもアカデミー受賞後、しばらく女優活動が停滞。『キャットウーマン』(04)では、役者にとって不名誉な「ゴールデンラズベリー賞」の最低女優賞を受賞してしまい、キャリアの立て直しに苦しんだ。
また、アカデミー賞を受賞した女優は私生活でも不幸になるといわれており、サンドラ・ブロック、リース・ウィザースプーン、ヒラリー・スワンクらがオスカー像を獲得後に離婚。ハルも受賞当時は夫だった歌手エリック・ベネイと、その後離婚している。
このような不幸を世間は「オスカーの呪い」といい、今回のインタビューでのハルの発言も「オスカーの呪いがかかっているから、仕事が来なかったんだ」などとネットで騒がれている。
08年にモデルとの間にもうけた長女を、未婚のまま出産。破局後に泥沼親権争いを繰り広げ、その後、フランス人俳優と結婚し、長男を出産するが、2年で離婚。このように、2000年代はタブロイドをにぎわせることが多かったハルだが、『X-MEN』シリーズでの演技が注目され、体当たりで演じたキアヌ・リーブス主演アクション映画『ジョン・ウィック:パラベラム』(19)が話題となり、近年女優として再注目されている。
監督デビューを兼ねた主演新作映画『Bruised』は、プレミア上映された昨年のトロント国際映画祭で高い評価を得た。総合格闘技の女性ファイター役を熱演した本作で、ハルは、「オスカーの呪いから完全に解き放たれた」と評価を上げている。その『Bruised』は、11月にNetflixで全世界配信される予定だ。