「たまたま合わないだけ」……中学受験、不登校・引きこもりが「リセット」できる学校選びと“親がすべきこと”
真凛さんが言うには「自分はHSP気質(ハイリ―・センシティブ・パーソン=とても繊細)」とのこと。相手の顔色を気にしすぎる傾向があるため、直接、自分が怒られているわけでもないのに、誰かが怒られているのを見るだけで、とても辛くなったりするそうだ。
小学校のクラスではヤンチャな子が幅を利かせていて、真凛さん曰く「ワチャワチャ」していた空間に思えていたという。
「でも、J女は何て言うか、先生も生徒もすごくやさしくて⋯⋯。自由なんだけど、全体的に穏やかで、あったかい空気が流れていたんですよね。ここ、好きだなあ⋯⋯って思いました」
帰り際に案内役の先生から笑顔で「春にまたお会いしましょうね」って言われて、思わず「ハイ!」って返事をしていたという真凛さん。しかし、その時は6年生の晩夏。受験勉強的には時間がなくて、大変、不利な状況ではあるのだが、そこから真凛さんは、個別塾に通って、J女学院の過去問だけをやり込む作戦を取ったという。
そして、見事、合格。
「複数回入試のJ女学院で、3回試験を受けて3回目でどうにか合格しました。奇跡です(笑)。もしJ女学院に合格できなかったら、私は中学生になってもずっと引きこもりのまんまだなって思っていたので、本当によかったです」と真凛さん。
真凛さんの母である千夏さん(仮名)にも話を聞いた。
「不登校になって半年が過ぎたくらいですかね。真凛がふと『私、中学生になれるかな?』って言ったんですよ。ああ、真凛は中学生になったら『リセット』したいんだなって思いました」
そこで、いろいろな進路のパターンを模索し始めたという。その中で、J女学院に出会った千夏さんは「ここは娘に合う!」と直感。学校に事情を話し、“ひとり学校見学”を了承してもらったのだそうだ。そして、上記のような経緯をたどって、J女学院に入学。皆勤賞まではいかないものの、問題なく進級を重ね、現在、真凛さんは高3。大学進学に向かって頑張っている最中だ。
最後に母、千夏さんの言葉を紹介しておこう。
「もちろん、真凛が小学校に行けなくなって心配はしていたんですが、その時も私と夫はこう考えていました。『たまたま、今置かれた環境に真凛が合わないだけ。ならば、合う環境を探せばいい。焦らず、探そう』って」
もしかすると日本の教育は「周りに合わせる」ことを強いすぎている傾向があるのかもしれない。千夏さんの話を聞いて、私はますます、親の役割は「花が咲きやすい場所に子どもを置くこと」なんだなあと実感している。