ヤクザは“寂しがり屋”――映画『すばらしき世界』から元極妻が考える、今も1万人以上いるといわれる「無戸籍」問題
報道によりますと、子どもが生まれた時に出生届を出さず戸籍を作らないのは、「お母さんが子の父親とトラブっているから」という理由がほとんどのようです。出生届を出すと子の存在がわかってしまい、不倫がバレたり、DV被害を受けたりする可能性があるんですね。
『すばらしき世界』の三上は、「芸者さんが産んだ私生児」という設定でした。これはモデルになった山川一こと田村明義さんがそうだったんですが、お母さんについては結局よくわからなかったそうです。映画の原作である佐木隆三さんの『身分帳』に収録されている「行路病死人」に書かれていました。
ちなみに菅田将暉さん、YOSHIさん、仲野太賀さんなどが出演する映画『タロウのバカ』(大森立嗣監督、2019年)は、無戸籍で名前もなく学校にも行かない「タロウ」と呼ばれる子ども(YOSHIさん)とその友だちのお話でした。
豊田エリーさん演じるタロウのお母さんは、「ワケあり」というよりは単に深くは考えていない印象でしたね。実際にはそういう例のほうが多いんじゃないかなあ、とも思いました。まさに「今どきの子ども」です。
ていうか、戸籍なんかなければ作ればいいのにと思いますが、簡単ではないんですね。新たに戸籍を作るとなると、「いつ頃生まれたか」の証明などがけっこう面倒くさいそうで、手続きを変える法改正も進められていますね。
でも、そもそも戸籍って必要なんでしょうかね。世界では中国と日本と、日本の植民地だった台湾だけですよね。韓国も日本の植民地だったので以前はありましたが、2007年に廃止されたそうです。
健康保険や生活保護などの行政サービスは、戸籍がなくても受けられるそうですし、今はマイナンバーもありますから、特に困らない気もします。「戸籍がない=かわいそうな人」的な報道は見ていてつらいです。
戸籍がないというだけでひっそりと生きて、最期は餓死したおばあさんの事件をテレビで見ましたが、もっと早くなんとかできなかったのでしょうか? 戸籍なんかなくても大丈夫な世の中にしたいものです。