『ザ・ノンフィクション』父からの仕送りにも「反省しない」、夢を追う27歳芸人「ボクがなりたいもの~芸人になる。と上京した娘~」
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月4日の放送は「ボクがなりたいもの~芸人になる。と上京した娘~」。
あらすじ
下北沢の駅前でお笑いライブのビラを配る芸人・幸世27歳。体の性は女性として生まれるが違和感があったという。幸世は7年間男性ホルモン注射を行い、顔立ちもシュっと男性らしく、腕はたくましく、すね毛もあり、髭も朝そっていたりと、言われなければもともとの体の性が女性とはまるで気づかない見た目だ。
幸世という名前は芸名でもあり本名でもある。チラシを配り続けて2時間、500円のチケットを買ったたった一人の観客を前に、幸世は男性ホルモンを打って生活している自分を「オカマの反対、オナベです!」と話し、そんな自分の半生をネタにした舞台を行うが、笑いを取れずライブは終了する。
別の舞台でも男になりたいと父親にカミングアウトする実体験に基づいたネタを披露する。幸世のネタはこのテーマに絞られているようだ。しかし観客の反応は芳しくない。幸世のお笑いの収入はほぼゼロで、売れなかったら30歳で辞めると決めいるとナレーションが入った。
お笑い芸人としての収入がほぼない状況で、さらに専門学校時代の奨学金返済もある幸世は、いまだに父親から仕送りをもらい、社会保険料も払ってもらっている。幸世の父親は静岡県で薪を作る仕事のほか、二つの仕事をかけもちし、ろくに自宅にも帰れず、仕事漬けで車中泊生活だ。番組スタッフの取材に父親は「親からの支援で生きていく生き方をやめてもらいたい」と苛立った様子で話す。幸世の性的な決断に関しては「否定はしないし認めちゃってるから。どうにもできないよ俺は。そんな格好するなとも言えないし。本人は本人なりの生き方というか……」と複雑な思いを話していた。
幸世は1年半ぶりに静岡に帰省する。幸世の母親は幸代の性について、最初は世間を気にしてしまったと話すが「世間で何を言われようが私にとっては大事な娘」と受け入れつつも「『息子』ってでも言えないかも、言えないな」と複雑な心境を話す。幸世は働く父の元も訪ね、初めて父親が仕事を掛け持ちしてまで自分に仕送りしていた過酷な状況を知る。
父親は番組スタッフだけの取材では、幸世の生き方に不満をあらわにしていたが、いざ幸世を前にすると一転、とても穏やかな様子で、幸世のことが可愛いようだった。番組の最後、芸人を続ける幸世に父親は仕送りをまだ続けているとナレーションで伝えられていた。