コラム
【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

のぶみ氏の絵本が書店に置かれる危うさとは? 「子どもは親を選んで生まれる」と主張する医師との関係を繙く

2021/07/20 19:30
黒猫ドラネコ(ライター)
『うまれるまえにきーめた』(サンマーク出版)

 絵本作家・のぶみ氏が、東京オリンピック・パラリンピック文化プログラム「MAZEKOZEアイランドツアー」に参加していると判明し、ネット上で批判の声が噴出。8月22日にはオンライン配信イベントを行う予定だが、7月20日に公式サイトにて「のぶみさんご本人のご意思により出演は辞退されました」と発表されている。

 のぶみ氏はこれまで、『ママがおばけになっちゃった!』『まけずぎらいキティ』(ともに講談社)など、数々の絵本作品を発表しているが、その内容が読者の間で物議を醸すことも少なくない。また、『子どもは親を選んで生まれてくる』(日本教文社)などの著書を持つ池川明医師と関係があることに対し、問題視する向きもある。

 サイゾーウーマンの連載「スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」では、スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコ氏が、のぶみ氏を取り巻く人物を繙き、「誰もが手に取れる『絵本コーナー』にのぶみさんの本が置かれることへの不安」を訴えていた。ネット上で話題になっている今、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)


 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 今月26日、何かとお騒がせな絵本作家・のぶみさんが、サンマーク出版より新作絵本『うまれるまえにきーめた』を発売します。Amazonの商品説明には「ママのお腹へと行く前に、一人ひとり、やりたいことを決めるのです」とありました。のぶみさんご本人が自身のSNSなどで内容を小出しにして宣伝していましたが、生まれる前の子どもが“神様”に促され、自分が欲しい才能や、人生のあらすじを紙に書かせる(でも「ほとんどのじんせいが そのとおりにならない」と言われる)という、摩訶不思議な内容でした。

 のぶみさんは2017年にも『このママにきーめた!』(同)という絵本を出版しており、その中には「ねぇ、どうしてママをえらんだのか、しってる?」「ようし! ぼく、このママにきーめた!」といった子どものセリフが出てきます。また、あとがきには「おなかのなかの記憶がある子どもたちに会って描いた絵本です」とも書かれており、「子どもの証言」を作品に落とし込んでいることがうかがえます。

 のぶみさんといえば、元暴走族の総長で33回も逮捕された(自称)という、絵本作家としても、社会人としても異色の経歴の持ち主。昨年、「あたしおかあさんだから」という歌の歌詞で“自己犠牲”の母親像を礼讃して、ネットを大炎上させました。この時、『このママにきーめた!』をはじめとした他の作品についても疑問の声が上がり、それ以来、嫌悪感を抱く人が増えたようです。よせばいいのに、のぶみさんはたびたび“アンチ”に応戦。しかも「弁護士に相談した」などと、33回の逮捕で学んだのであろう、社会通念上の善悪の規範をチラつかせてくるとか。

 “のぶみアンチ”な方々は、一体彼の何を警戒しているのか。気になった私は、Twitter上で交流のある、のぶみさんを「危険視する」方々から話を聞きました。

「SNSでの支離滅裂な発言、つじつまの合わない経歴、母親を馬鹿にして描いていることを疑問視しています。彼を売り出したメディアや、のぶみさんを起用する公的機関にも責任があると思います」(女性、子育て経験なし)

「命への尊厳とそれを描く技量が欠けているため、子どもに対して暴力的な作用をするのではないでしょうか。無害なふりをして、他の絵本の横に並んでいる恐ろしさがあります」(女性、子育て経験あり)

「作者本人がSNSで講演会開催を熱望したり、10冊や100冊単位で買うようにファンに呼び掛けていることに違和感を覚えます。一部の母親たちを“信者”のように慕わせ、母親たちも『私がのぶみさんを助けなきゃ』と共依存しているように見え、まるで“カルト”のようです」(女性、子育て経験あり)

 このような批判を浴びながらも、のぶみさん自身が“教祖様”さながらに、自身のコミュニティ内でひたすら宣伝を繰り返している点は、私も気になるところです。

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