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セックスシンボルってゲスすぎる響き

シャロン・ストーン、『氷の微笑』新バージョン発売にため息……新たな性的搾取の可能性も

2021/05/19 16:39
堀川樹里(ライター)
セクハラ業界の「すべてを見てきた」というシャロン姐さん(gettyimagesより)

 エロティック・スリラー映画の決定版と呼ばれ、主演俳優シャロン・ストーンの出世作ともいわれる『氷の微笑』(1992)。

 彼女は同作において、有名な「いすに座って足を組み替える」シーンを撮影する際にポール・バーホーベン監督から「ライトが反射してしまうから」「どうせ何も映らないよ」と下着を脱ぐよう指示され、自分の意思に反して陰部を丸映しされたことを告発している。

 今年3月に発売された自叙伝『The Beauty of Living Twice』では、撮影終了後に呼ばれた試写には作品に無関係な人がたくさんいたこと、そんな中で問題のシーンを見せられて激怒し監督を平手打ちしたが、最終的には作品のためにこのシーンを許可したとつづっている。

 そんなシャロンが現地時間5月17日、オーストラリアのテレビ番組『A Current Affair』にオンラインで出演。司会者から、問題のシーンについて「あなたに相談なく、ウソをつかれて撮影されたものが、映画製作において象徴的なシーンとなりましたが?」と聞かれた際、「まだまだこれからだと思うわ」「製作30周年を記念し、『ディレクターズ・XXX・カット版』の発売が決定されたの」と、ため息を漏らした。

 あぜんとする司会者に向かってシャロンは、「そのことを知った時の私は、今のあなたとまったく同じ表情をしていたわ」と苦笑。「あなたには発売を止める権利はないのか?」と質問され、「新しいルールがあるんだけど、私がこの映画に出演したヤングレディーだった頃より後に作られたもの(ルールだ)からね。使えないのよ」と、あきらめ口調で答えた。

 以前から問題のシーンについて「撮影したことは後悔していない」と発言しているシャロン。今回のインタビューでも「後悔は、おならみたいなもの。だって、引っ込められないでしょ。一度出ちゃったら、悪臭を放って、そして消えちゃう」と、後悔はしない主義なのだと持論を展開していた。

 シャロンは、2018年1月から始まったセクハラに対する処罰を求める「Time’s Up運動」に賛同。全米映画俳優組合・テレビラジオ芸能人組合(SAG-AFTRA)は昨年、Time’s Upの設立団体が作成したオーディションや撮影時のセクハラ被害を防ぐガイドラインを採用し、セクハラを絶対に許さないという立場を明らかにした。シャロンが口にした前述の「新しいルール」とはこれを指しているものと思われる。

 シャロンは、Time’s Up運動が始まった月に受けたインタビューで、セクハラ被害を受けたことはあるかと聞かれて大爆笑。「40年もこの業界にいるのよ」「ウブで無防備な頃からね」「すべてを見てきたわ」と冷ややかな目で答え、セクハラがまかり通る時代にセックスシンボルとしてブレークしただけに、ひどい目に遭ってきたのだろうと同情を集めた。

 シャロンの口調からして『氷の微笑』のXXX版は相当ショッキングなものだと思われる。新たな性的搾取の可能性も否定できないが、それでも「後悔していない」と言う彼女に、厳しい時代を生き抜き、被害者の立場だけでは終わらないという役者としてのすさまじいプライドが感じられる。

 

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2021/05/19 16:39
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