カルチャー
居住支援の現場から【2】

大学生の息子がゲーム依存症で引きこもり! 「ネット依存外来」に通院も打つ手なし……母が助けを求めた先は?

2021/04/25 18:00
坂口鈴香(ライター)

 次に若宮さんがすがったのは、心療内科だった。ところがここでも診断は“グレー”。ウツでもないという。

「祐樹はまた『ほら、なんでもないだろ』と。もしかすると発達障害ではないか、と別の病院で検査してもまたしても“グレー”でした」

 若宮さんは実弟にも話をしてもらったが、祐樹さんが心を開くことはなかった。打つ手打つ手すべてが空振りで、もう方法がないと途方に暮れていたときに出会ったのが、居住支援法人「LANS(ランズ=ライフ・アシスト・ネットワーク・サービス)」の浅井和幸さんだった。

「ネットでLANSの活動を知り、藁にもすがる思いで連絡しました。浅井さんがおっしゃるには、祐樹には物欲がないんじゃないか。何かあれば外にも出たくなるのではないかというんです

 浅井さんは祐樹さんと話をしようと、月に1回、若宮さんの家に来てくれるようになった。

「祐樹は『何で行かなきゃいけないの』と言いながらも、うちに帰ってきて、浅井さんと会ったんです。すると、浅井さんは祐樹をドライブに連れ出してくれました。特にこれといった話もせず、世間話程度で帰ってきました

 あとから祐樹さんは、「浅井さんが何も言わず、横にいてくれて居心地が良かった」と、その時の心境を語ったという。

――続きは5月9日公開

 

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2021/04/25 18:00
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