サイゾーウーマンコラム『おちょやん』の事実にびっくり コラム 『おちょやん』解説 『おちょやん』井川遥演じた「女優・高城百合子」の事実にびっくり! ドラマでは描けない悲劇の亡命 2021/04/10 14:30 堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト) テレビnhk朝ドラ 現在放送中のNHK連続テレビ小説『おちょやん』。ヒロインの千代は、喜劇女優の浪花千栄子さんをモデルとしていて、浪花さんの自伝『水のように』(朝日新聞出版)に登場する人々や逸話を巧みに再構成して出来上がった作品です。そんなドラマの登場人物の“本当の話”を、『あたらしい「源氏物語」の教科書』(イースト・プレス)などの著作を持つ歴史エッセイストの堀江宏樹氏が解説! 『おちょやん』公式サイトより 井川遥演じた「女優・高城百合子」の事実にびっくり NHK連続テレビ小説『おちょやん』の第16週「お母ちゃんて呼んでみ」では、主人公・千代(杉咲花さん)と、その夫である天海一平(成田凌さん)の家庭に、ワケあって松島寛治(前田旺志郎さん)という少年が同居するになるまでの話が描かれました。 最近の「朝ドラ」成功図式の一つに、「これまで知らなかったイケメン」、もしくは「有名な俳優さんだが、こういう一面があるとは知らなかった」という要素が多ければ多いほうが良い、というものがあります。寛治役の前田旺志郎さんに期待がかかりますが、実在のカリスマ喜劇俳優・藤山寛美(女優の藤山直美さんの父)をモデルにしている時点で、芝居以外は全然ダメな獄道役者になっていくとは思います……。千代も苦労なことですなぁ。 ……といって、今回描きたいのはそういう話がメインなのではありませんでした。 女優・高城百合子(井川遥さん)のソ連亡命劇、あれにはびっくりしました。高城はこれまでも、奔放な天才肌の女優として描かれていました。世間とはズレているところが、逆に女優としての輝きにつながっているタイプとでもいえるでしょうか。 いわゆる社会主義のテイストが入った“赤い演劇”に没入していったのも、高城百合子の、「自分が演じたい芝居だけを演じる」という演劇人としての誇りゆえ、という説明がドラマではなされましたよね。そして、ついに社会主義にまつわるすべてに抑圧的な日本を飛び出し、ソ連に亡命を試みる……。 そんな彼女にお供のように付き従っていたのが、かつて千代ともあれこれあった小暮さん(若葉竜也さん)。京都の映画撮影所で、映画監督にはなれなかったあの人ですね。 そんな高城が、実在の日本人女優・岡田嘉子(おかだよしこ)をモデルにしているとはじめて気づいて、筆者は驚愕しました。岡田嘉子は恋人の男性・杉本良吉とソビエト連邦時代……もっというとスターリンの独裁時代のソ連に日本から亡命してしまった人として有名なんですね。 しかも朝ドラで描かれたとおり、岡田・杉本の二人を亡命直前まで世話していたのは、千代と一平のモデルである浪花千栄子・渋谷天外の夫婦だったことがわかりました。 これにはびっくりしました。 次のページ 一平ちゃんと高城、実は濃い関係? 123次のページ 楽天 連続テレビ小説 おちょやん 完全版 Blu-ray BOX2【Blu-ray】 関連記事 NHK『おちょやん』、篠原涼子の女将は「異常者」だった!? 本当は怖い“芝居茶屋”の児童虐待ぶり朝ドラ『おちょやん』、ヒロイン実父・テルヲをめぐり炎上連発! トータス松本の“毒父”ぶりは「絶対悪」か「庶民の普通」か?『おちょやん』トータス松本の「児童虐待」ぶりに批判噴出! 浪花千栄子の実父「激ヤバ」ぶりを暴く『おちょやん』浪花千栄子のリアル人生は「汚点」だらけ!? NHK朝ドラ化は「不可能」なワケ朝ドラ『おちょやん』、原作NGになった「ヤバすぎる」ストーリーとは!? NHKヒロインの「ドス黒い」人生