興収60億突破の『シン・エヴァンゲリオン』、テレビシリーズ放送当時にささやかれた、庵野秀明監督の“うわさ”とは
3月8日に公開されたアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:II』(以下、『シン・エヴァ』)の興行収入が、公開3週間で60億を突破し(興行通信社調べ)、アニメファンを中心に話題を呼んでいる。
同作は、1995~96年に放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ(テレビ東京系、以下『エヴァ』)の劇場版最新作。『エヴァ』シリーズは、大災害「セカンドインパクト」が起きた世界を舞台に、巨大な汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとなった少年少女たちと謎の敵「使徒」の戦いを描いたSFアニメだ。
謎が謎を呼ぶストーリー展開や主人公たちのリアルな心理描写、ダイナミックな戦闘シーンが徐々に人気を集め、テレビシリーズ終了後に3本の劇場アニメが公開。90年代後半に社会現象を巻き起こした。
その後、2007年には新たに4部作の「新劇場版」プロジェクトが始動し、同年に1作目を公開。12年公開の3作目から9年の時を経て、今回、完結編となる『シン・エヴァ』が公開された。『エヴァ』シリーズが長年ファンに愛され続けている背景には、主人公・碇シンジ役の緒方恵美をはじめとする出演声優が、約25年間一貫してキャラクターを演じ続けていることも関係しているだろう。
同シリーズを手掛けているのは、映像クリエイターの庵野秀明監督。「女性声優ブーム」の先駆けとなった林原めぐみや三石琴乃のほか、当時まだ新人だった宮村優子ら、多くの才能を見いだしてきた。“鬼才”とも称される彼が魂を削り生み出した『エヴァ』シリーズのアフレコ現場は、一体どのような様子だったのだろうか。
「一言でいうと、『庵野監督のやりたい放題』でしたよ。通常、テレビアニメ1話分の収録は2時間前後で終わるのですが、『エヴァ』の場合は3時間以上かかったと言われています。とにかく庵野監督が『OK』を出さず、スムーズに収録が進んで、キャストとスタッフ共々ホッとしていたところを、庵野が最後の最後でダメ出しをする……なんてことはしょっちゅうだったと聞いています」(声優業界関係者)
『エヴァ』はアニメ放送当時、ファンの間では話題になっていたものの、業界内でそこまでの高い評価は受けておらず、キャストやスタッフからの庵野監督に対する評判も、良くはなかったという。
「とはいえ、それから年月がたつにつれて作品人気が高まり、今や興行収入60億円を突破する人気長寿アニメとなったわけですから、庵野監督の方法論は正しかったということでしょう。現場でワガママが通用するほどの『カリスマ性』も当時からあったのでしょうね」(同)
また、『エヴァ』放送当時は、庵野監督のとある“うわさ”がささやかれていたという。
「アフレコ収録時、『資料素材の撮影』との名目で、女性声優の姿をカメラに収めていたとか。関係者からは、単に『お気に入りの声優の動画が欲しかっただけでは?』なんて声もあったそうです」(同)
そんな庵野監督に対し、声優陣から不満の声は上がらなかったのだろうか。
「仕事ですし、それはなかったと思いますよ。昔の作品の新作が作られる際には大抵キャストの変更が行われますが、『シン・エヴァ』でテレビ版のキャストをそのまま起用しているのは、庵野監督や制作陣が声優たちの“技量”を信頼しているからでしょう。だからこそ、誰もが彼の“昔のワガママ”は水に流しているんだと思います」(同)
庵野監督という絶対的な存在を持ち、テレビアニメ放送から25年がたってもいまだ熱狂的なファンを持つ『エヴァ』シリーズ。今後、興行収入がどこまで伸びるのか注目だ。