コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇陛下を味方につけた侍従長、女官を追放! 宮内庁に渦巻く“男の嫉妬”が生んだ悲劇

2021/04/03 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

――問題は根深いわけですね。みんないろいろと我慢していた不満が、何かをきっかけに一気に表面化して、爆発的に今城さん解雇につながっていく……。

堀江 天皇陛下の了解と共感を得た入江氏によって、今城さんの解任の話はトントン拍子で進み、昭和天皇が「魔女を去らしめることを早くやれ」と、催促なさった記録もあります(『入江相政日記』4月27日)。

 結局、この年、ヨーロッパ訪問が終了して少し落ち着いた7月30日付けで、今城さんはクビになってしまうのでした。女官としての最終出勤日は29日で、両陛下への御挨拶などをこなしたそうです。「これが最後という日、皇后さまはお部屋で泣いていらっしゃった(女官・久保八重子さんの証言)」ともいいます。

 しかし、解せないこともあるのですね。皇室ジャーナリストの河原氏の主張は、今城さんが辞めさせられ、ガックリと来た皇后さまは認知症などの体調不良が一気に進んだという論調なのですが、入江氏の日記を見ていると事態はそう単調ではありません。

――もしかして、皇后様と今城さんが、本当に一心同体ではなかったというようなことですか?

堀江 はい。たとえば、今城さんが女官を辞める約1カ月前のことです。今城さんは出勤しているものの、皇后さまの身の回りのお世話をするのは別の女官にだんだんとシフトさせられていました。

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