コンビニおにぎりなどの「冷や飯」がメンタルに効く? 不安を取り去る「科学的に証明された」テクニック
「機嫌の悪い人が職場や家族にいると心が乱れる」「SNSの幸せ自慢を見ると、自分だけ取り残されそうな気持ちになる」といったものから、「漠然とした将来の心配」まで、人生は不安の連続だ。
それでも、不安に駆られやすい人もいれば、あまり感じない人もいる。「気の持ちよう」と言われても、それができればそもそも苦労しない。そんな人の一助になりそうな一冊が、『科学的に証明された不安にならない36の方法』(荘司英彦著、笠倉出版社)。同書には脳神経外科医の著者による、最新医学に基づいた、不安へのさまざまなアプローチ方法が説かれている。
不安には「冷や飯」が効く?
本書のユニークな点は、メンタル面の不安の対処について「腸から」のアプローチがいくつも紹介されている点だ。腸はセロトニン、ドーパミンなどの、気持ちを前向きにする「幸せホルモン」と呼ばれるホルモンが生み出される場所であり、セロトニンが不足すると、うつ病が発症すると考えられているとのこと。
私もそうだが、PMS(月経前症候群)や生理でつらい思いをする人は「女性ホルモン」というほんのわずかな分泌物が体や心に及ぼす多大な影響を、身に染みて知っていると思う。それゆえに、「ホルモン」とうまく付き合えたら、心身ともに心強いというのはよくわかる。
何より「不安なんて気にするな」とアドバイスされたところで、不安の強い人にしてみれば「そんなこと言われても……」だろうが、「幸せホルモンが分泌しやすい腸内環境になるよう心がけよう」と聞くと、まだ「打つ手がある」と感じられるのではないだろうか。
本書では、幸せホルモンを生み出す腸内環境にしていくための、さまざまな食品が勧められているが、そのうちの一つが「冷や飯」だ。
ご飯などのデンプンを冷ました状態にすると、デンプンはレジスタントスターチに変化する。レジスタントスターチとは「消化しにくいデンプン」という意味で、一見、体によくないように思える。だが、レジスタントスターチはこの「消化しにくさ」により、腸内の善玉菌のエサになりながら、腸内の蠕動を促してくれる優れものだという。コンビニのひんやりとしたおにぎりも、腸内環境向上かつ不安対処のための切り札だと思うと、見る目が変わってくる。
はやりの糖質制限は不安を招く?
本書では、「糖質制限」による腸内環境の悪化の懸念も指摘されている。糖質制限では米などの主食を減らすことになるが、米は糖質だけでなく、腸内の健康維持において大切な食物繊維も多く含まれているため、それを制限することで、食物繊維の足りない生活から腸内環境の悪化につながりやすいのだという。
私自身、昨年から緩くではあるが糖質制限を続けている。体は筋肉質になり引き締まるなど「体形」の観点で見ると、糖質制限はかなり優秀な方法だと実感しているが、糖質制限をしてから、明らかに便秘になり、もとの便秘症が一段加速した。
また、糖質制限において「甘いもの」を我慢するのはつらいので、米やパン、パスタなどの「主食」を減らそうとする甘党な人は私も含め多いと思うが、米や麦には食物繊維も多く、主食を減らすことは、もれなく食物繊維不足にもつながってしまう。『科学的に証明された不安にならない36の方法』では、どのように食物繊維を摂ればいいのかについても触れられているので、参考にしたい。
不安時間スケジューリングとは?
また本書は心理の臨床現場で使われているテクニックも多く紹介されており、そのうちの一つ「不安時間をスケジューリングする」を取り上げたい。これは、あらかじめ「転職のことで悩むのは、金曜の午後5時から5時半まで」などとスケジュールしてしまうというものだ。
「不安に駆られるな」は難しいのだから、「この時間は不安になっていい」という時間をあらかじめ設定するという、逆転の発想。なかなか大胆だが、心理の現場では以前から使われている定番の手法なのだそうだ。これは不安だけでなく、「イライラする」といった感情にも使えるだろう。
この本では、36ものテクニックが紹介されており、手軽に実践できるものから食生活を見直す方法まで、ハードルの高さはさまざまだ。
不安になりがちな思考が癖になってしまっている人に向けた、切り替えのアイディア、また、採用面接の待合室など、誰でも不安に駆られるような場所で、道具なしでできる不安の和らげ方など、不安の状況やタイプによって「これをやってみよう」「アレで行こう」など選ぶことができる。
何より、不安という嵐が過ぎるのを待つだけではなく、「自分は不安への対処法を知っている」ということ自体が、不安感の強い人の心を、ほっとさせてくれるのではないだろうか。
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