万引きGメンへの報復はおそろしい! 不良グループ捕まえた2日後……店長が「大変なことが起こってさ」と漏らしたワケ
当日の現場は、関東の郊外に位置する大型ショッピングセンターH。食品のほか、書籍や衣料品、日用品、コスメドラッグなどまで扱う老舗店舗です。近隣に商店が少ないため、この店のフードコートは異様な活気を見せており、老若男女を問わず、数多くのお客さんが来店される人気スポットになっています。
ここのところ、そのフードコートが地元高校生を中心に構成される不良グループのたまり場と化してしまい、それに乗じて万引き被害も増えているということで、その摘発を依頼されました。予算の関係上、単独勤務ではありますが、お店の方が全面協力してくださることを約束してくれたため、捕捉時の恐怖は控えめで済みそうです。事務所まで挨拶に出向くと、どことなく近藤正臣さんに似た渋めの店長が、色つきの眼鏡を直しながら言いました。
「売場にいる高校生は、だいたいやっているから、なるべく捕まえてください。あと、フードコートでの迷惑行為を見かけたら、これで呼んでもらえるかな。ちょっと隙をみせると、すぐ調子に乗るから、なかなか大変なんだよね」
保安専用と書かれた充電器から、PHS端末を外した店長が、それを私に差し出しながら言いました。あまり聞かない依頼を受け、戦々恐々とした気持ちで現場に向かった私は、フードコートの状況から把握することにします。すると、昼前にもかかわらず、フードコート内には多くの高校生がたむろしていました。いくつか勉強しているグループもいますが、そのほとんどがスマホのゲームに興じており、テーブルに伏して寝ているグループまで見受けられます。
一番ひどいのは、テーブルに足を投げ出して足の爪を切っている者のいるグループで、その足元には、切った爪の破片や飲食物の残骸が散らかっていました。皆一様にワイシャツの襟元を大きく開き、さまざまな色に髪を染めた4人組で、足の爪を切っている白に近い金髪の男がリーダー格の雰囲気を漂わせています。どことなく元TOKIOの山口達也さんに似た体格のいい男で、彼の発する威圧的な雰囲気が、ほかの客を遠ざけているように見えました。マナーやモラルを守らないことで目立ちたいのか、奇声を上げてじゃれ合い、キックボクシングのマネごとまで始めたので、店の外に出てから店長に連絡を入れます。
「また、あいつらか。どうせ言っても聞かないから、売場に出て悪さするまで、目を離さないでもらえますか。従業員にも、注意するよう伝えておくので」